『一夜二人転:壬生墨佳/嬬恋七瀬 第二夜』


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壬生(みぶ)墨佳(すみか)(PL:DT)
キャラシート

嬬恋(つまごい)七瀬(ななせ)(PL:scatter)
キャラシート





GM:早速お二人共お集まりいただけたので進行に関してお話していきたいのですが
GM:希望のシチュエーションとかありますか?
嬬恋七瀬:では記憶喪失で!
GM:記憶喪失了解です。理由はシンプルにジャームのせいで、にしましょうか。
GM:ランダムチャートで両方記憶をなくしちゃう可能性があるんですけど
GM:先に記憶なくしたい人います?

【オープニング】

GM:お二人共登場ダイスをどうぞ。
嬬恋七瀬:36+1D10
DoubleCross : (36+1D10) → 36+3[3] → 39

壬生墨佳:侵蝕率+10(1d10->10) (侵蝕率:36->46)



GM:では状況の説明となります。
GM:今回おふたりは、最近街で起きてる不可解な記憶喪失事件について調査することになりました。
GM:なんでも、事件の前後の記憶を無くした人たちによる傷害事件や事故が後を絶たないとか。怖いですね。
GM:オーヴァードの関与が疑われたので、お二人も調査と、場合によっては討伐が必要ということで、街に駆り出されています。
GM:(状況説明は以上となります。以下、ロールどうぞ)
壬生墨佳:「……」
壬生墨佳:「……」
嬬恋七瀬:「………………」
嬬恋七瀬:気持ち普段より距離を取って歩いている。
壬生墨佳:「……あの、さ」
壬生墨佳:「……もう、知ってるよな」
嬬恋七瀬:「え……?あ、ああ……」
嬬恋七瀬:「……え?いや……何?」
壬生墨佳:「何じゃなくて……」
壬生墨佳:「かれんさんの話……」
嬬恋七瀬:「…………ああ」
嬬恋七瀬:「うん……聞いたよ」
嬬恋七瀬:「…………」
壬生墨佳:「どうにか出来たかも、なんてさ。失礼なことは言えないけど」
壬生墨佳:「それでもさ……それでもだ」
壬生墨佳:「エージェント一人の生死をここまで重く受けるのだって、不真面目かもしれないけど」
壬生墨佳:「それでもさあ……」声は小さくなって。
嬬恋七瀬:「……支部に入ったばっかりの頃さ」
壬生墨佳:「うん」
嬬恋七瀬:「右も左も分からなくて。話せる相手もいなくてさ」
嬬恋七瀬:「すごく……心細かったんだ」
壬生墨佳:「……君が?」
壬生墨佳:「何だそれ。そういう設定?」
嬬恋七瀬:「人のことなんだと思ってんだよ……」
嬬恋七瀬:「ホントの話。言ったこと無かったけどさ」
嬬恋七瀬:「でも、そんな時に……かれんさんが、色々面倒見てくれたんだよ」
壬生墨佳:「面倒見良かったもんなあ」
嬬恋七瀬:「うん」頷き。
嬬恋七瀬:「夜番の時とか、ご飯作ってくれたりしてさ……」
嬬恋七瀬:「美味しかったな、あれ……。レシピは教えてくれなかったけど……」
壬生墨佳:「あれ美味かったよな。別に変わった材料入ってないはずなのに」
嬬恋七瀬:「ああ……そうだ」
壬生墨佳:「うん?」
嬬恋七瀬:「隠し味があるって言ってた。聞こうとしたんだけど、どうしても教えてくれなくてさ……」
嬬恋七瀬:「そしたら、ボクが一人前のエージェントになったら、教えてくれるって」
嬬恋七瀬:「……そう、言ってた」
壬生墨佳:「……」
嬬恋七瀬:「……間に合わなかったな」
壬生墨佳:「いくつかの候補がある。僕はズルができるからさ」《成分分析》のこと。
壬生墨佳:「何個か試せば、多分、再現できると思う」
壬生墨佳:「だからさ……なれよ。早く」
壬生墨佳:「そしたら、僕が作るよ」
嬬恋七瀬:「……かれんさんの代わりに、壬生が判定してくれるって?」
壬生墨佳:「妥協しろよな。代わりなんて居ないとも」
嬬恋七瀬:「やだなぁ……お前、細かいとこケチ付けてまだダメとか言ってきそうだし……」
壬生墨佳:「それはケチがつく方に問題があるからだろ……!」
壬生墨佳:「僕らにできるのはさ、忘れないでいることだけだろ?」
嬬恋七瀬:「忘れないでいること、ね」
壬生墨佳:「そういうのを忘れさせる敵はさ。逃しちゃおけないだろ」
壬生墨佳:「一人前への第一歩だ。頼むぜ?」
嬬恋七瀬:「ああ。見てろよ」
嬬恋七瀬:「すぐに認めさせてやる」
壬生墨佳:「うん。見てるよ」
壬生墨佳:「いつになることやらだけどな」
嬬恋七瀬:「言ってろよ。すぐだぞ、すぐ」
嬬恋七瀬:「お前の動体視力で見逃すなよな」
壬生墨佳:「すぐねえ」鼻で笑うように。「一人前がそんなチョロチョロするのか?」
GM:ではここで、君たちは《ワーディング》の気配を感知する。
壬生墨佳:「……ん」
嬬恋七瀬:「もっと視野を広く持てって話…… っと……!」
嬬恋七瀬:「……近いな」
嬬恋七瀬:腰に差したトイガンを確認する。
GM:気配を追うと、そこでは鼻から下を重金属性のフェイスガードで覆ったオーヴァードらしき人物が
GM:朦朧とした様子の男に何やら指示を出している。
壬生墨佳:「あれか。分かりやすくて助かる」
GM:どうやら、記憶を奪った人間に暴走車を運転させてテロ攻撃を仕掛けようとしていたらしい。
嬬恋七瀬:「そこのお前!」銃口を向ける。
嬬恋七瀬:「動くな!両手を頭の後ろで組んで跪け!」
“フォアフェイチャー”:「ヌ……チィーッ!UGNか!」
嬬恋七瀬:「そうだよ!天下のUGNだぞ!」
嬬恋七瀬:「抵抗しても無駄。分かるよな?」
壬生墨佳:「君の目論見は潰えたってことだ」《贋作師》で作った銃を構える。役割を悟らせないため。
“フォアフェイチャー”:「わ……わかった。降参する。」両手を掲げて、その場で膝をつく。
GM:嬬恋さんが近づいてきたところで不意打ちしましょう。
壬生墨佳:「ああ。素直でよろしい」
嬬恋七瀬:「そうそう……物分かりがいいな」銃を向けたまま近付いていき。
嬬恋七瀬:武装を確認しようとして……
“フォアフェイチャー”:「かかったな!バアカめェー!」
嬬恋七瀬:「う、ぐっ……!?」
嬬恋七瀬:「この野郎……!!」
GM:フェイスガードが開口し、黒い毒ガスめいた煙を放出する!
壬生墨佳:「あっ馬鹿っ……!」
嬬恋七瀬:(やばっ……!)
壬生墨佳:「くっ……!」とっさに琥珀の盾を展開する。だがそれは、
壬生墨佳:固体を防ぐためのものだ。気体であれば盾の範囲外から回折する。
GM:嬬恋さんはモロに喰らいますね。壬生さんは距離が離れていたので無事だ。
嬬恋七瀬:咄嗟に息を止めるが、間に合わない。いくらかガスを吸い込んでしまう。
“フォアフェイチャー”:「ヘヘッ!こんなところで捕まってたまるか!アバヨ!」
嬬恋七瀬:「っ……!!」
嬬恋七瀬:意識が朦朧とする。強烈な眩暈に、その場に屈み込む。
GM:煙幕のように展開した毒ガスを目くらましに、アクロバティックな動きでその場から犯人は逃げ出す。
壬生墨佳:「チッ……!」攻撃能力はない。自分一人では追うことも出来ない。
壬生墨佳:「おい、大丈夫か!?」屈み込む嬬恋さんに駆け寄って。
GM:君たちふたりは後に残されることになる。壬生さんは少し間を置いて、嬬恋さんの異変に気づくかも知れない。
GM:嬬恋さんは少し間を置いて、記憶を無くしているかもしれませんね。大変だ。
嬬恋七瀬:「はぁっ……! っ……う……?」
嬬恋七瀬:怪訝な顔をして、辺りを見回す。
壬生墨佳:「うん。とりあえずは大丈夫そうだな……」
壬生墨佳:「あのさ、馬鹿か君?役割が逆だろ!」
壬生墨佳:「僕が拘束して君が構えておく状況だったろ、今」
嬬恋七瀬:「…………?」眉間に皺を寄せる。
壬生墨佳:「一人前目指して逸ったか?やめろよな、そういうのさ」
壬生墨佳:「……」
嬬恋七瀬:「…………??」じっと壬生さんの顔を見つめる。
壬生墨佳:「……聞いてる?……何、何だよ」
壬生墨佳:「返す言葉もないってか?」
嬬恋七瀬:首を傾げて。更に見つめる。
嬬恋七瀬:「……」
壬生墨佳:「……?」
嬬恋七瀬:その姿を確認し、じっと目を覗き込む。
嬬恋七瀬:「……あの……」
壬生墨佳:「何だよ?」
嬬恋七瀬:「……すいません。本当に恐縮なんですが……」
嬬恋七瀬:「……どこかでお会いしたでしょうか?」
壬生墨佳:「……」
壬生墨佳:「…………は?」



 GM:OPロイス取得あればこちらで宣言どうぞ
 嬬恋七瀬:ロイスは……覚えてないから取れない!
 壬生墨佳:固定済みなのでなし!
 壬生墨佳:そうじゃん
 GM:忘れちゃった



GM:では続いてミドルシーンへ

【ミドルフェイズ1】

GM:登場ダイスどうぞ
嬬恋七瀬:39+1D10
DoubleCross : (39+1D10) → 39+2[2] → 41

壬生墨佳:侵蝕率+5(1d10->5) (侵蝕率:46->51)
使用技能:≪情報:UGN≫ ≪情報:噂話≫
難易度:6
最大達成値:9点
目標進行値:4
GM:まずはFS判定から。調査どうぞー!
嬬恋七瀬:あ、まず先にハプニングチャートからですかね
GM:おっとすいません!ではチャートを振りましょう
GM:1D6
DoubleCross : (1D6) → 2

GM:2:事態が深刻化する。状態変化の進行・周囲への拡大など
ラウンド中の判定難易度を8に変更する。

GM:早ない?
嬬恋七瀬:どうしよう……
壬生墨佳:シーンの最後はどうです?
嬬恋七瀬:そうですね
GM:では判定難易度が8になった状態でのFS判定になります。どうぞ
嬬恋七瀬:情報UGN、コネUGN使います
壬生墨佳:コネUGN使ってUGNで判定!
嬬恋七瀬:3DX+2>=8
DoubleCross : (3R10+2[10]>=8) → 9[2,7,9]+2 → 11 → 成功

壬生墨佳:4dx+4>=8
DoubleCross : (4R10+4[10]>=8) → 8[1,1,8,8]+4 → 12 → 成功

壬生墨佳:見覚えのないコネ……?
嬬恋七瀬:誰のコネだ……?
GM:忘却が早すぎる
GM:ではPP2/4ですね
【情報開示】
犯人はFHエージェントの“フォアフェイチャー”。他人の記憶を簒奪する毒ガスを精製・操作する能力者ということがわかります。
嬬恋さんの記憶喪失も先ほどの攻撃が原因のようですね。早く無力化あるいは殺害して能力を解除しない限り、どんどん症状が悪化して何もわからなくなる可能性もあります。
急いで見つけ出して退治しましょう!(情報は以上です)
嬬恋七瀬:「……人違いじゃないですか?」
嬬恋七瀬:品のいい笑みを湛えて小首を傾げる。
嬬恋七瀬:「貴女みたいな綺麗な人、一度会ったら忘れないと思うんだけどな……」
壬生墨佳:「や、止めろそれ!」
壬生墨佳:「鳥肌が立つ!」
嬬恋七瀬:「あはは、そのお知り合いの人、そんなにボクと似てるのかな」
嬬恋七瀬:「こうして会えたのも何かの縁です」
嬬恋七瀬:「よかったら、近くでお茶でもいかがですか?」
嬬恋七瀬:「その人のお話も、聞いてみたいし……」
壬生墨佳:「何かの縁じゃない!」
壬生墨佳:「というかこいつマジで素なのかこれ……!」
壬生墨佳:「君は記憶がないの今!」
嬬恋七瀬:「……記憶?」きょとんとした顔。
嬬恋七瀬:「あっ……なるほど……」
嬬恋七瀬:「前世からの縁で、記憶が戻ってないとか、そういう……?」
嬬恋七瀬:「案外情熱的なんですね」
壬生墨佳:「なんでそうなる……!?」
壬生墨佳:「自分の名前は分かる?君は嬬恋七瀬」
嬬恋七瀬:「……」少し驚いた顔。
嬬恋七瀬:(あれ……何で知ってるんだろう……)
嬬恋七瀬:一歩引く。
嬬恋七瀬:(ヤバい系のストーカーの子……?)
壬生墨佳:その様子を見て。「えっ名前から分かんないの……!?」
嬬恋七瀬:「…………」神妙な表情で、じっと壬生さんの顔を見て。
嬬恋七瀬:(いやでも可愛いし……もうちょっと行ってみよう……)
壬生墨佳:「何なら覚えてる……?」考え込む。
嬬恋七瀬:「知ってもらえてるだなんて、光栄だな……どこでボクの名前を?」
壬生墨佳:「え、どこって、同りょ……」言いかけて止まって。
壬生墨佳:(オーヴァードであることを記憶喪失者に開示するべきなのか……?)
壬生墨佳:「良かった。まあとにかく名前はOKだ」
嬬恋七瀬:「……」戸惑っているのを見て。
嬬恋七瀬:「ごめん、急にこんなこと言って、驚かせちゃったかな」
壬生墨佳:「いや驚いてはいるけど……!」
嬬恋七瀬:「普段こんなこと言わないんだ。ボクも自分でびっくりしてるんだけど……」
嬬恋七瀬:「でも、君のことを見たら、つい口が動いてしまって……」
壬生墨佳:「知ってるよ!普段そんな事言わないよ!」
嬬恋七瀬:「良かったら、もっと君のこと、聞かせてくれないかな?」喫茶店とかで。
壬生墨佳:「……いやそうだな、場所は変えたほうがいいか」
嬬恋七瀬:「そう?良かった!」ぱっと笑顔になって。
嬬恋七瀬:「それじゃあ行こうか!」
嬬恋七瀬:手を握って、喫茶店に歩いていく。
壬生墨佳:「うわわっ」驚く。



GM:-市内のどこかにある喫茶店-

壬生墨佳:「さて、何から聞くかな……」
嬬恋七瀬:「君は何飲む?遠慮しないでいいから。ボクはカフェオレかな……」
嬬恋七瀬:終始ニコニコしている。
壬生墨佳:「あれ、ブラックじゃないの?」
嬬恋七瀬:「?」
壬生墨佳:(いや、味覚自体が変わることもあるのか……?)
壬生墨佳:「や、何でもない。僕もカフェオレで」
嬬恋七瀬:「ボク、苦いの苦手でさ……はは、恥ずかしいけど、我慢して飲むのもかっこ悪いしね」
嬬恋七瀬:「そう?気が合うね」カフェオレを二つ注文して。
嬬恋七瀬:「いい店じゃない?ボクのお気に入りなんだ」
嬬恋七瀬:市内のそれっぽい店は大量にリサーチしてある。
壬生墨佳:「知ってるっての……あ、いや」
壬生墨佳:「それは覚えてるんだな……?」
嬬恋七瀬:「……?」
壬生墨佳:「まあいいよ。とにかくだ。ええと」
壬生墨佳:「壬生墨佳だ」
嬬恋七瀬:「みぶ、すみか……」
嬬恋七瀬:「…………」
嬬恋七瀬:「どういう字?」
壬生墨佳:学生証を取り出して見せる。
嬬恋七瀬:「…………」じっとそれを見て。
嬬恋七瀬:「……壬生墨佳……」
嬬恋七瀬:「……すごく綺麗で、可愛らしい名前だね!」
嬬恋七瀬:「それにやっぱり、星辰館の生徒なんだね」
嬬恋七瀬:「ボクもそうなんだ。どこかで会ったことあるのかもね」
壬生墨佳:「やめろそれマジで」
壬生墨佳:「やめろ……」
壬生墨佳:「僕は真面目な話をしようとしてるの!」
嬬恋七瀬:「それなのに気付いてなかっただなんて、ボクはとんでもない……」
嬬恋七瀬:「……どうしたの?具合でも悪い?」
壬生墨佳:「具合も悪くなるよ!」
嬬恋七瀬:「そんな……大丈夫?一緒に病院に行こうか?」心配そうな顔。
壬生墨佳:「違う違う違う!ちょっと待ってて!」
嬬恋七瀬:「……?」
壬生墨佳:「聞くけど!オーヴァードの自覚はあんの?」
嬬恋七瀬:「!」
嬬恋七瀬:辺りを見回して。
嬬恋七瀬:「……どうしてそれを?」
壬生墨佳:「その反応なら分かるんだな。その点は幸いだ」
嬬恋七瀬:「…………」視線にやや警戒の色が混じる。
壬生墨佳:「同僚だからだよ。僕らはあるエージェントを追ってた」
嬬恋七瀬:「……え?」
嬬恋七瀬:「……ちょっと待って」
嬬恋七瀬:「じゃあ、君はUGNエージェント?」
壬生墨佳:「チルドレンだけどな。追ってたそいつは、記憶を消せるFHエージェントだった」
嬬恋七瀬:「マジかよ…………」俯き小声。
壬生墨佳:「で、君がその攻撃を食らった。状況が分かった?」
嬬恋七瀬:「…………」目を瞑り、考え込む。
嬬恋七瀬:「……あー……」
嬬恋七瀬:「いや……そうか……なるほど……」
嬬恋七瀬:「…………」
嬬恋七瀬:「どうしていきなり見覚えのない路地にいたんだろう、とは思ったんだけど……」
嬬恋七瀬:「そうかー……」頭を抱えて。
壬生墨佳:「よかった……ここまで分かるならなんとか任務は続けられそうだな……」
嬬恋七瀬:「……あの、聞いていいかな」
壬生墨佳:「まあ、記憶の欠落があれば対応はしょうがないだろ……ん?何?」
嬬恋七瀬:「……君って、ボクにとって、何?どういう関係?」
壬生墨佳:「相棒で、それから……」
壬生墨佳:「それから……」
壬生墨佳:「えっこれ僕の口から言うの!?」
壬生墨佳:「えー……???」
嬬恋七瀬:「……?」
嬬恋七瀬:「えっ……何……?」
嬬恋七瀬:「そんなただならぬ関係なの……?」
壬生墨佳:「違う!!!」立ち上がる。
嬬恋七瀬:「うわっ」
壬生墨佳:「あっすいません……」周りを見渡して座る。
嬬恋七瀬:「えっ何何何……怖……」
壬生墨佳:「無し無し!相棒!以上!」
嬬恋七瀬:「え、ボク……」
嬬恋七瀬:「誰か殺したり……あ、相棒?」
嬬恋七瀬:「……それだけ?」
壬生墨佳:「……それ以上知りたかったら、記憶を戻して」
壬生墨佳:「ウロボロスシンドロームと認定される能力者の中には、能力効用を打ち消す作用を持つ者がいる」
嬬恋七瀬:「?」
壬生墨佳:「作用を抽出すれば、解毒用のアンプルになる。なんとか確保して、持ってきてもらってる」
壬生墨佳:注文していたカフェオレを受け取って。
嬬恋七瀬:「マジ!? よかったー……」息を吐く。
嬬恋七瀬:「……ちなみにさ」
嬬恋七瀬:カフェオレをかき混ぜて。
壬生墨佳:「これだ」ガムシロップの容器を渡す。「うん?」
嬬恋七瀬:「ありがとう。 ……ボクと君って、知り合ってどれくらい?2~3ヶ月くらい?」
壬生墨佳:「まあ、一年は超えるよ。数えてるわけじゃあないが」
嬬恋七瀬:「い、一年……!?」
嬬恋七瀬:「嘘でしょ……!?」
壬生墨佳:「嘘なんて付くもんか」
壬生墨佳:「ああ……どうせ信じるなら適当なこと言えばよかったか」
嬬恋七瀬:「ま……マジで……?」
嬬恋七瀬:(こんな可愛い子と一年も仕事してて、相棒止まり……!?)
嬬恋七瀬:(何やってたんだボク……??)
壬生墨佳:「まあ、いいだろ。そいつを混ぜて飲み干せば、それで終わりだ」
壬生墨佳:「そうすりゃあとは追い捕らえるだけってね」
嬬恋七瀬:「あ、そうだね。話してないでさっさと飲んじゃおう」
嬬恋七瀬:そう言ってグラスを傾け、一気に解毒剤入りのカフェオレを飲み干す。
嬬恋七瀬:「……まっず!これ……!!」
壬生墨佳:「まあ味はなあ」ケラケラと笑いながら、こちらもカフェオレを飲んでしまって。
壬生墨佳:「けほっ……」
壬生墨佳:「なんだ……?」意識が朦朧とする。
嬬恋七瀬:「ん?どうし…… う……!」こちらも急速に蘇ってくる記憶に、目が眩む。
壬生墨佳:そのまま、机へ突っ伏して。
嬬恋七瀬:「っ……ふ……」眩暈はすぐに収まり。
嬬恋七瀬:「あー……頭痛……」目を開いて、目の前の光景に気付く。
嬬恋七瀬:「えっ……おい、壬生!」
嬬恋七瀬:「どうしたんだよ!おい!」手を伸ばして肩を揺さぶる。
嬬恋七瀬:(えっ……っていうか……)
嬬恋七瀬:(何言ってた……?ボク……??)
壬生墨佳:「ん……」
壬生墨佳:「ん……?」微睡みの中から、起き上がって。
嬬恋七瀬:「だっ……大丈夫かよ……」心配と先程までの言動で滅茶苦茶な精神状態。
嬬恋七瀬:「何だよ、どうかしたのか?」
壬生墨佳:「……」
壬生墨佳:「……え」身を引いて。
壬生墨佳:「…………誰?」
嬬恋七瀬:「……え?」
嬬恋七瀬:「……」
嬬恋七瀬:「……え?」
壬生墨佳:「え?何?何?」
嬬恋七瀬:「…………」
嬬恋七瀬:「はぁああ!?」



 GM:シーン1のロイス取得あればどうぞ
 GM:購入も可能です
 壬生墨佳:忘れちゃった……
 GM:記憶が消えた状態で繋げるロイスもないと思うので、購入だけでもあれば申告どうぞ
 嬬恋七瀬:こっちは思い出したので “フォアフェイチャー” 尽力/○憤懣
 壬生墨佳:ボディアーマー狙おうかな
 壬生墨佳:知らないアイテム……
 壬生墨佳:2dx>=12
DoubleCross : (2R10[10]>=12) → 10[10,10]+10[2,10]+4[4] → 24 → 成功

 壬生墨佳:装備状態だったのかな
 GM:知らないアイテムにすごい達成値を出す壬生さん
 嬬恋七瀬:ボルアク!
 嬬恋七瀬:1DX>=15
DoubleCross : (1R10[10]>=15) → 6[6] → 6 → 失敗

 嬬恋七瀬:以上!



【ミドルフェイズ2】

GM:準備できた方から登場ダイスどうぞー
嬬恋七瀬:あ、FS判定なのでラウンド制ですね
嬬恋七瀬:でもいいか!
嬬恋七瀬:39+1D10
DoubleCross : (39+1D10) → 39+8[8] → 47

壬生墨佳:侵蝕率+7(1d10->7) (侵蝕率:51->58)
GM:アワーーーー やってしまった!
GM:では気を取り直して二巡目!
嬬恋七瀬:代わりに購入できるからお得!
GM:FS判定前に二巡目のハプニングチャート。
GM:1D6
DoubleCross : (1D6) → 6

GM:特殊技能の要求
GM:ROCで2D6振って、何かしらこじつけましょう
GM:2D6
DoubleCross : (2D6) → 4[1,3] → 4

GM:芸術:演奏
GM:セッション奏でてもらうしかなくなっちゃったな
嬬恋七瀬:マイナーでジェネシフト!
GM:というわけで、君たちは敵をおびき寄せる為に演奏する必要が出てきてしまった。
嬬恋七瀬:47+3D10
DoubleCross : (47+3D10) → 47+10[7,2,1] → 57

GM:それはそれとして残りのPPを……集めようね!
嬬恋七瀬:オギャ
GM:現在のPPは2/4です
GM:難易度は6!
壬生墨佳:3dx>=6
DoubleCross : (3R10[10]>=6) → 9[5,5,9] → 9 → 成功

壬生墨佳:いけちゃった
嬬恋七瀬:こいつには負けられない……!
GM:あら~~~~お見事
嬬恋七瀬:2DX>=6
DoubleCross : (2R10[10]>=6) → 7[2,7] → 7 → 成功

嬬恋七瀬:ま……まあ…………
壬生墨佳:フッ……!
嬬恋七瀬:こいつ……!!
壬生墨佳:器用なおててですね~?
GM:財産点1使うと4/4になりますね。どうしますか?
嬬恋七瀬:は?万全なら達成値20000出すけど?
嬬恋七瀬:あれ、両方成功だから4/4じゃないですか?
GM:あ、失礼 両方成功だから4/4だ!
嬬恋七瀬:やった~~
【情報開示】
“フォアフェイチャー”は攻撃の現場に人通りの多い場所を狙っている。
必然、一般人の多い場所ほど無秩序な破壊と暴行を振りまく威力が多いからと推測される。
もし君たちが何か人の耳目を集める手段を持っていれば、ターゲットも現場に現れる可能性が高いだろう。
手段は一任するので、ジャームを罠にかけてやれ。
GM:(以上です。手段は一任するのでピアノとか弾くといいんじゃないかな?)
嬬恋七瀬:「あー、はいはい、分かった分かった。そういうのね」
嬬恋七瀬:「いや、もう止めていいから。笑えないし」
壬生墨佳:「……」
壬生墨佳:警戒するように距離を取る。
嬬恋七瀬:「面白いか?可哀想なボクにそんな……」
嬬恋七瀬:「ボクは被害者だろ!こっちだって覚えてたらあんな事絶対……!」
壬生墨佳:「なんだ、こいつ……何を……?」
嬬恋七瀬:「いやだから面白くないっての!」
壬生墨佳:「ジャームか……?だけど、この状況は……」
壬生墨佳:《ワーディング》を展開する。
嬬恋七瀬:「は……!?」
嬬恋七瀬:何ともない。周囲を気にしている。
嬬恋七瀬:「何してんだよお前……!」
壬生墨佳:「何が目的なんだ、君」冗談で仕掛けるエフェクトでは断じてない。
嬬恋七瀬:「悪ふざけにしちゃやりすぎだろ……!」
嬬恋七瀬:「何って…… ……」
嬬恋七瀬:「おい……壬生……?」
嬬恋七瀬:「……笑えないって」
壬生墨佳:「!」
壬生墨佳:「名前まで調べてるのか……!」
嬬恋七瀬:「……」
嬬恋七瀬:立ち上がり、歩み寄る。
壬生墨佳:「!」腕をふるおうとする。ヤニが発生する。攻撃の予備動作。
嬬恋七瀬:「琥珀はよせ」
壬生墨佳:「……!」
嬬恋七瀬:それ以上は近付かず。足を止める。
嬬恋七瀬:「……マジで忘れたのか?ボクのこと」
嬬恋七瀬:不安と焦燥の滲む声。
壬生墨佳:「……知らない。どこかで会ったのか?」
壬生墨佳:「生憎だが、一切心当たりがない」
嬬恋七瀬:「……嘘だろ……」
嬬恋七瀬:その場にしゃがみ込み、掌で顔を覆う。
嬬恋七瀬:「時間差……?何で……解毒剤はもう……今度はそっちかよ……」ブツブツ呟き、思考を巡らせる。
壬生墨佳:「けほっ……!」咳き込んで。「……何なんだよ、君」
嬬恋七瀬:立ち上がり。
嬬恋七瀬:「ボクは……」
嬬恋七瀬:「……」
嬬恋七瀬:「……UGNエージェントだ」
壬生墨佳:「……それを信用する手段は?」
嬬恋七瀬:「……」
嬬恋七瀬:「……自分のことは覚えてるんだよな?」
壬生墨佳:「開示の必要があるか?」
壬生墨佳:警戒の色を解いては居ない。
嬬恋七瀬:「ああ、もう……」苛立ちを露わに。「分かった」
嬬恋七瀬:「なら、支部に確認してみろ。十一支部所属エージェント、嬬恋七瀬。コードは“ハーツイーズ”」
嬬恋七瀬:腰からトイガンを抜いて、壬生さんの足元に転がす。
嬬恋七瀬:「武器はそれだけだ……信じないだろうけどな」
壬生墨佳:「ふん」鼻で笑う。「お里が知れる」
壬生墨佳:「よりにもよって、13分の1の外れだ……十一だって?」
壬生墨佳:「調べずとも分かるが、いいよ、突きつけてやろう……」支部へと通信をして。
壬生墨佳:「……」
壬生墨佳:「……え?いや、そんなはずは……?」
壬生墨佳:「……いや、ふざけてない……!ちょっと!?」
壬生墨佳:「……いや、だから……!あっ!」
嬬恋七瀬:「……」小さく息を吐く。
壬生墨佳:「……」
壬生墨佳:「……???」
嬬恋七瀬:「……今、自分がどうしてここにいるか、分かるか?」
壬生墨佳:「“フォアフェイチャー”の討伐」
壬生墨佳:「そのために、ここに入って……」
壬生墨佳:「ここに入って……?」
嬬恋七瀬:「……そこまで覚えてるのか。“フォアフェイチャー”の能力については?」
壬生墨佳:「記憶の消去」
壬生墨佳:「……」
壬生墨佳:「……食らったのか、僕」
嬬恋七瀬:「そうだ。いいか?説明するから分かれよな」
嬬恋七瀬:「ボクとお前は二人で“フォアフェイチャー”の討伐任務に当たってた」
嬬恋七瀬:「対象を発見したが、拘束しようとしたところで反撃を受け、取り逃がした」
嬬恋七瀬:「ボクは即座にエフェクトの効果が出て、記憶を消去されたけど……」
嬬恋七瀬:「支部から届いた解毒剤によって記憶を取り戻した」
嬬恋七瀬:「けど、それと同時に時間差で、今度はお前……壬生墨佳の記憶……多分、ボクに関する部分だけが消去された」
嬬恋七瀬:「で、解毒剤は使い切っちゃって、すぐには届かない」
嬬恋七瀬:「……分かったか?」
壬生墨佳:「ああ。状況は理解した」
壬生墨佳:「済まないな。混乱していて、間違った結論に記憶を補完していた」
壬生墨佳:頭を下げて。
嬬恋七瀬:「いや頭とか下げんなよ……!気持ち悪いな……!」
壬生墨佳:「つまり、“ハーツイーズ”。君の記憶だけを失っているんだな、恐らく、僕は」
壬生墨佳:「じゃあ、連携には支障があるかもしれないけど、任務は継続できる」
壬生墨佳:「君はアタッカーだろ、“ハーツイーズ”。僕と二人で組んでたんだもんな」
嬬恋七瀬:「……そうだよ」少し不機嫌そうに目を逸らす。
壬生墨佳:それに目敏く気づいて。「ああ、すまない」
壬生墨佳:「僕、君をどう呼んでた?そっちで呼ぶよ」
嬬恋七瀬:「……」
嬬恋七瀬:「……どう、って……」
嬬恋七瀬:「……あんまり、呼ばれてなかったけど……『君』、とかが殆どで……」
嬬恋七瀬:「……たまに呼ばれる時は、名前だったかな」
壬生墨佳:「そっか。じゃあ、七瀬」
壬生墨佳:「迷惑を掛けるかもだが、よろしく頼むぜ」
嬬恋七瀬:「……」
嬬恋七瀬:「あ、うん……」
壬生墨佳:「七瀬?大丈夫か?」
壬生墨佳:「君も記憶の再混濁があるんじゃないだろうな」
壬生墨佳:「解毒も万能じゃないかもしれない。おかしな点があったら伝達してくれ」
嬬恋七瀬:「……いや……」視線を明後日の方に泳がす。
嬬恋七瀬:「そうじゃない……けど……」
嬬恋七瀬:「…………」
壬生墨佳:「ああ、済まない」
壬生墨佳:「多分、今の僕、七瀬からしたら違和感があるんだろ」
壬生墨佳:「そこは慣れてくれ。努力はしたいとこだけど、いかな天才でも限度があるからな」
嬬恋七瀬:「こいつマジで誰にでもこれかよ……!」
嬬恋七瀬:「……いや、待って、違う!いや違くない、そう!」
嬬恋七瀬:「違和感がすごいんだよ!」
壬生墨佳:「そんなに……?」
嬬恋七瀬:「だから、たまになの!名前で呼ぶのは!」
壬生墨佳:「そんなに変な態度とってるつもり無いんだけど。どうしたらいい?」
嬬恋七瀬:「ほぼ呼ばれてない!君、とか、おい、とか……そんなんばっかなの!」
壬生墨佳:「そうなの……?じゃあそうするけどさ」
壬生墨佳:「そっちのほうがいいことある……?」
嬬恋七瀬:「……」
嬬恋七瀬:「いや……」
嬬恋七瀬:「今の方がいつもより7割増しくらい優しいけどさ……」
壬生墨佳:「僕普段そんなに辛辣なの……?」
嬬恋七瀬:「そうだよ……!」
嬬恋七瀬:「普段からもっと優しく……いや……」
嬬恋七瀬:「でも今これはこれで気持ち悪いんだよな……」
壬生墨佳:「じゃあ僕どうすればいいんだよ……!」
壬生墨佳:「なにがしか決めてくれないと困るぞこっちも!」
嬬恋七瀬:「分かんないんだよ!こういう時は壬生に決めてもらってたから!」
壬生墨佳:「ああ……そういうことか」
壬生墨佳:「悪いな。こっちが迷惑かけてたのに後輩に当たってたのか」
壬生墨佳:「分かった。僕のやりたいようにやるよう努力しよう」
壬生墨佳:「遺漏があればカバーしてくれ。現状の整理からだな……」
嬬恋七瀬:「後輩……」
壬生墨佳:「えっ違うの?もしかして先輩……?」
壬生墨佳:「七瀬先輩……?」
嬬恋七瀬:「違う!!」
嬬恋七瀬:「こいつ……ホントに記憶ないのか……?」
嬬恋七瀬:「ボクのことおちょくって楽しんでるんじゃないよな……?」
GM:嬬恋さんが記憶を無くした壬生さんに戸惑っていると、ふたりの端末に情報が送信されてきます。
GM:内容は情報開示で明かされたものですね。おびき寄せて倒すことに成功すれば、奪われた記憶も取り返すことができるでしょう。
嬬恋七瀬:「……」
嬬恋七瀬:顔を見合わせる。
嬬恋七瀬:「やれるか?」
壬生墨佳:「ああ」微笑んで。「やろうか」



 GM:シーン2のロイス・購入あればどうぞ
 嬬恋七瀬:ロイス保留ジェネシフト!
 嬬恋七瀬:58+2D10
DoubleCross : (58+2D10) → 58+6[5,1] → 64

 嬬恋七瀬:ボルアク!
 嬬恋七瀬:2DX>=15
DoubleCross : (2R10[10]>=15) → 10[7,10]+10[10]+9[9] → 29 → 成功

 嬬恋七瀬:ええ?
 壬生墨佳:めっちゃ買えてる
 嬬恋七瀬:装備して以上です……
 壬生墨佳:じゃあシューターズジャケットあたり。
 壬生墨佳:2dx>=13
DoubleCross : (2R10[10]>=13) → 7[3,7] → 7 → 失敗

 壬生墨佳:ダメ!
 壬生墨佳:作戦目標/“フォアフェイチャー”/尽力/脅威:○/ロイス
 壬生墨佳:これで取って終わり。



【クライマックス】

GM:登場ダイスをどうぞ
嬬恋七瀬:64+1D10
DoubleCross : (64+1D10) → 64+5[5] → 69

壬生墨佳:侵蝕率+6(1d10->6) (侵蝕率:58->64)



GM:場面変わって、君たちはいま、駅舎にあるグランドピアノの前に来ています。
GM:駅舎周辺は昼下がりということもあって人通りも多い。確かにここで演奏に成功すれば、人々の耳目を集めることも難しくなさそうだ……
壬生墨佳:「奴は衆目を集める場所を選んでいる」
嬬恋七瀬:「人を集めろって……方法がこれかよ」
壬生墨佳:「追い回すよりは、そっちのほうが効率的だ」
嬬恋七瀬:ピアノを前にして立ち尽くす。
嬬恋七瀬:「嫌がらせか……?」
壬生墨佳:「とはいえ、それに事件性があってもいけない」
壬生墨佳:「あくまで自然と集めないとってわけだ……しかしだ」
壬生墨佳:「弾くだけで、ってのもなあ」
嬬恋七瀬:「……何か策でもあんの?」こちらは弾くだけでも御免だというのに。
壬生墨佳:「……僕が名演奏家の音声記録の贋作を作って流そうか?」
壬生墨佳:「君は弾くフリだけでいい。スピーカーをジャックすればそれくらいは行けるはずだ」
嬬恋七瀬:「そういうの、意外とバレるぞ」
壬生墨佳:「……そうなの?」
嬬恋七瀬:「生の演奏とはやっぱり違うんだよ。最悪、BGMとして流されて終わるかも」
嬬恋七瀬:「…………絶対やりたくないけど、一応案ならある」
壬生墨佳:「案?聞かせてくれ」
嬬恋七瀬:「……」少し躊躇って。
嬬恋七瀬:観念したように溜息を吐く。
嬬恋七瀬:「ボクは顔がいい」
壬生墨佳:「ふっ」吹き出して。
壬生墨佳:「自分で言う?否定はしないけどさあ」
嬬恋七瀬:「お前も……まあ、道端の石ころよりは綺麗って言ってやっていい」
壬生墨佳:「え、何でそんな君失礼なの」
壬生墨佳:「普段そういう感じなの……?」
嬬恋七瀬:「……」
嬬恋七瀬:「でだ」
嬬恋七瀬:「簡単な話。ボクたちで連弾する」
嬬恋七瀬:「客観的に見て、映える。動画とかアップされたら、めちゃくちゃバズるの間違いなし」
壬生墨佳:「話題性で耳目を引くってわけか」
壬生墨佳:「そうだな、それなら演奏技術は二の次になる。僕でもなんとかなりそうだ」
嬬恋七瀬:「そう。どうせ上手い下手なんて、その辺の客には分かんないよ」
壬生墨佳:「いい案だと思う。それで行こうか」
嬬恋七瀬:「……」
嬬恋七瀬:ピアノに向かおうとして、足が止まる。
嬬恋七瀬:行き交う人々を意識して、冷汗が流れる。多くの衆目に、どうしてもかつて経験したコンサートが想起される。
嬬恋七瀬:それは、今となってはトラウマそのものだ。
壬生墨佳:止まった手を引いて。
壬生墨佳:「ほら。何をモタモタしてるんだ」
嬬恋七瀬:「っ……」
嬬恋七瀬:「あ、ああ……」
壬生墨佳:「決まればGOだ。被害は少ないほうがいいだろ?」
嬬恋七瀬:「……そう、だな」
嬬恋七瀬:頷き、鍵盤に掌を置く。だが指先は震え、動かない。
嬬恋七瀬:ここ数カ月、誰にも聞かせず、何度かピアノを弾いた。
嬬恋七瀬:その時は、確かに弾けたのだ。
嬬恋七瀬:だが、それはこんな大勢の前ではなかった。
嬬恋七瀬:「……先に弾いてて」
嬬恋七瀬:「後から合わせる」
壬生墨佳:「ああ」先に弾き始める。
壬生墨佳:拙いが、確かな足取りの旋律。
壬生墨佳:一度披露したときよりも、成長の色がある。
壬生墨佳:「僕さ」弾きながら。「最近」
壬生墨佳:「ちょっと弾いてみたりしてるんだよね」
壬生墨佳:「切っ掛けとか、全然覚えてないけど」
壬生墨佳:「苦手だったけどさ。やってみると、なかなか楽しくって」
嬬恋七瀬:「……そっ、か」
嬬恋七瀬:彼女は今、覚えていないのだろうが。
嬬恋七瀬:自分ははっきりと覚えている。その旋律を。
嬬恋七瀬:何年も、近付くことすら避けていた鍵盤に、また触れた日のことを。
嬬恋七瀬:きっと、死ぬまで忘れられないと思う。
嬬恋七瀬:気付けば、指が動いていた。
嬬恋七瀬:背後の群衆のことは、いつしか頭から抜けていた。
嬬恋七瀬:ただ、目の前の鍵盤と、隣の相棒にだけ、意識を注ぐ。
嬬恋七瀬:確かな足取りで奏でられる旋律を、後ろから押すように、時には前から引くように、音を奏でていく。
嬬恋七瀬:「……壬生」
壬生墨佳:「……ん。何?」
嬬恋七瀬:「いや。今さ」
嬬恋七瀬:「……楽しい」
壬生墨佳:「ふふ。任務中だぞ」
壬生墨佳:「僕もだ」
GM:君たちの奏でる旋律に、まばらに人が足を止めて集まり始める。
GM:最初は数人。片手で数える程度だった人数が次第に増えていき……やがて、駅舎の片隅にはちょっとした人だかりが生まれる。
GM:君たちが群衆に目を凝らせば、その中に先ほど交戦したエージェントが忍び寄る様が確認できるだろう。
GM:《ワーディング》を展開すれば“フォアフェイチャー”を除き無力化し、即座に戦闘へ移行可能です。
壬生墨佳:「7時の方向。30m」監視カメラを掌握している。
嬬恋七瀬:「え?あっ」完全に演奏に集中していた。
壬生墨佳:「サビ前の小休止で《ワーディング》して反転しよう。お預けだな」
嬬恋七瀬:「了解……!」
壬生墨佳:しばらく全く気づいていないかのように弾き続けたあと。
壬生墨佳:旋律が一瞬止まる。
壬生墨佳:それは、曲にとっての小休止。
壬生墨佳:観客にとっての休止でもある。一人を除いて。
嬬恋七瀬:≪ワーディング≫。
嬬恋七瀬:ざわめきが一瞬で静寂へと変わる。
“フォアフェイチャー”:「なッ……!」
嬬恋七瀬:同時にトイガンを抜き放ち、ただ一人立ち尽くす人影の、足を撃ち抜く。
“フォアフェイチャー”:「ぐあっ!」撃ち抜かれた脚に風穴が開き、その場で姿勢を崩す。
壬生墨佳:「やあ。忘れたのかい、僕らの顔?」
“フォアフェイチャー”:「くそっ!その様子じゃ思い出してやがるな!どうやってかは知らねえが……!」
嬬恋七瀬:「まんまと引っ掛かったな。知らないなら教えてやるよ」
嬬恋七瀬:「UGNの力ってやつを。二度と忘れないように、ちゃんと身体に刻んでやる」
“フォアフェイチャー”:「へっ。言うじゃねえか……UGN」
“フォアフェイチャー”:痛みに震える手でトランスと他のドラッグが混合された薬液を取り出し、シリンジガンで首元から注入する。
“フォアフェイチャー”:「抜かせ!今度はそのちっぽけなオツムの中身、一切合切を奪い取ってやるぜェーッ」
“フォアフェイチャー”:「自分が人間だったことさえ思い出せなくしてやるよォ!」
嬬恋七瀬:“フォアフェイチャー”に向けた銃身に、青白い電光が弾ける。
嬬恋七瀬:「壬生」
嬬恋七瀬:「こっちに合わせるとかは考えなくていい。いつも通りやってくれ」
嬬恋七瀬:「ボクらは何回も組んでる。うんざりするくらいな」
壬生墨佳:「分かった。それが一番いいんだな?」
壬生墨佳:「じゃあ、大丈夫だ」
壬生墨佳:「頼むぜ、七瀬」
嬬恋七瀬:「だから名前……ああもう……」
嬬恋七瀬:「……そうだ。お前にとってのいつも通りが……」
嬬恋七瀬:「ボクにとっても、いつも通りだ」
GM:戦闘開始だ!



GM:エンゲージは
(嬬恋・壬生)-10m-(フォアフェイチャー)
GM:になります。
GM:【ラウンド1】
GM:セットアップ!
GM:宣言あればどうぞ
壬生墨佳:なし!
嬬恋七瀬:あ、衝動判定と侵蝕上昇!
GM:衝動判定は目標値6でどうぞ
嬬恋七瀬:3DX>=6
DoubleCross : (3R10[10]>=6) → 9[9,9,9] → 9 → 成功

壬生墨佳:4DX+1>=6
DoubleCross : (4R10+1[10]>=6) → 5[1,1,2,5]+1 → 6 → 成功

GM:侵蝕は2D10振っておいてね~
GM:おっと
GM:≪ワンナイトフィーバー≫
衝動判定時、通常の侵蝕増加でなく、侵蝕率を100%まで上昇してもよい。拒否可能。
この効果を受けた場合、戦闘終了時に侵蝕率が50%低下する。

GM:通常の侵蝕の代わりに、こちらを発動します。使用者は宣言のうえ侵蝕を100へどうぞ
嬬恋七瀬:受けて100に上げます!
壬生墨佳:効果を受けます!侵蝕100%へ。
GM:オッケー!
嬬恋七瀬:≪怨念の呪石≫で暴走 100>103
GM:窓間違えた。
GM:嬬恋さんは雷神も使う?
嬬恋七瀬:呪石がアイテムで雷神はエフェクトだから……使えない……!
嬬恋七瀬:使えたらよかったんですけどね……!
“フォアフェイチャー”:《アクセル》、行動値+6
GM:ではイニシアチブ順の処理を。
“フォアフェイチャー”:エネミー側の行動。
“フォアフェイチャー”:マイナー≪主の恩恵≫/メインプロセスダイス+4
壬生墨佳:“フォアフェイチャー”の行動値は?
GM:あっ反映されてなかった!
GM:デフォルトが10にアクセルかけて16です
壬生墨佳:了解!
嬬恋七瀬:hayai
“フォアフェイチャー”:メジャー≪コンセントレイト:ソラリス≫+≪エクスプロージョン≫+≪流血の胞子≫
GM:対象は壬生・嬬恋の両名
“フォアフェイチャー”:命中だいす!
“フォアフェイチャー”:11DX7
DoubleCross : (11R10[7]) → 10[1,2,3,3,4,5,5,6,6,9,10]+10[6,8]+1[1] → 21

GM:リアクションどうぞ
嬬恋七瀬:暴走リア不!
壬生墨佳:ガード。《砂の結界》《魔人の盾》。
壬生墨佳:ガード値を上げつつ、嬬恋さんをカバーリング。
“フォアフェイチャー”:ダメージ。
“フォアフェイチャー”:3D10+8
DoubleCross : (3D10+8) → 19[7,5,7]+8 → 27

壬生墨佳:侵蝕率+6 (侵蝕率:100->106)
壬生墨佳:38点弾いて無傷!
“フォアフェイチャー”:27点ダメージ。命中時、邪毒6を付与。
嬬恋七瀬:えっヤバ
嬬恋七瀬:硬い~~
壬生墨佳:邪毒は食らう……
嬬恋七瀬:壬生……!
“フォアフェイチャー”:「くらいやがれ!」
“フォアフェイチャー”:記憶を奪ったものとは異なる、赤紫の毒煙を放出する。
嬬恋七瀬:「……!」なすすべなくそれに呑まれそうになる。
GM:君たちに向けて迸る煙の軌道上に存在するコンクリートの床がぶすぶすと煙を吹き上げ融解する。腐食性の猛毒ガスだ!
壬生墨佳:「させるかって、の!」琥珀の盾を展開する。
壬生墨佳:固体を防ぐためのものではない。展開は2枚。
壬生墨佳:その間で、起電。電子イオンのスクリーンとなって、有害物質を遮断する。
嬬恋七瀬:「……! ははっ」笑みが零れる。「マジで記憶無いんだよな……?」
壬生墨佳:完璧ではないが、その多くを退けることができる。
壬生墨佳:「別に、戦闘技能に関しちゃ、変わっちゃいないはずだ」
壬生墨佳:「どこまでやれるかは、心得てる」口元を抑えている。
壬生墨佳:防ぎきれなかった分は、自分の側に誘導している。
GM:では続いて壬生さん⇒嬬恋さんの順ですね。アクションどうぞ
壬生墨佳:マイナーなし、メジャー《死神の瞳》を“フォアフェイチャー”へ。
壬生墨佳:6dx+17
DoubleCross : (6R10+17[10]) → 10[4,6,6,7,9,10]+4[4]+17 → 31

GM:《イベイジョン》で回避15固定です。命中!
壬生墨佳:命中で次に受けるダメージを+7Dです。
GM:了解です。演出あればどうぞ
壬生墨佳:パチンと指を弾く。琥珀の盾の間のアーク放電が、その向きを逸らす。
壬生墨佳:“フォアフェイチャー”を捉え、その動きを麻痺させる。
壬生墨佳:「これが僕のいつも通りだ」
壬生墨佳:「知ってるなら、頼むぜ、ここからはさ」
壬生墨佳:侵蝕率+3 (侵蝕率:106->109)
“フォアフェイチャー”:「ぐっ!?」側転回避失敗!電孤を受けて仰け反る!
GM:嬬恋さんの行動どうぞ!
嬬恋七瀬:マイナーでボルトアクションライフルを起動。
嬬恋七瀬:メジャーで≪セレリティ≫
嬬恋七瀬:2回メジャーアクションを行います
嬬恋七瀬:1回目
嬬恋七瀬:≪コンセントレイト:ブラックドッグ≫+≪アームズリンク≫+≪クレイジードライブ≫
嬬恋七瀬:対象“フォアフェイチャー”
嬬恋七瀬:8DX7+3+5
DoubleCross : (8R10+3+5[7]) → 10[1,1,2,2,3,4,5,7]+4[4]+8 → 22

GM:命中です。ダメージどうぞ
嬬恋七瀬:3D10+24+2D10+7D10 装甲有効
DoubleCross : (3D10+24+2D10+7D10) → 17[2,6,9]+24+5[4,1]+36[8,8,1,5,4,6,4] → 82

GM:えーと
GM:HP80点・装甲なしです。
GM:死にました!
嬬恋七瀬:死んだ!
壬生墨佳:やった!
嬬恋七瀬:やった~
GM:フィニッシュどうぞー
嬬恋七瀬:「ああ」
嬬恋七瀬:頷く。拳銃の内部、弾丸に膨大な電荷が収束されていく。
嬬恋七瀬:「よく知ってるよ」
嬬恋七瀬:眩く輝く弾丸が放たれる。
嬬恋七瀬:それはほんの一瞬動きを止めた“フォアフェイチャー”に着弾。
嬬恋七瀬:同時に、放電。
嬬恋七瀬:電撃の連鎖。枝を広げた大樹のような、巨大な雷が立ち昇り、“フォアフェイチャー”を焼き尽くす。
“フォアフェイチャー”:苦し紛れに赤紫の煙を銃弾めがけ口から噴射するが、射速に変化なし!
“フォアフェイチャー”:霧を吹き払い着弾した一撃が炸裂し、悲鳴を上げることさえ叶わず絶命!
GM:君たちの勝利だ!
嬬恋七瀬:「うん」
嬬恋七瀬:「いつも通りだ」
嬬恋七瀬:侵蝕103>112



GM:バックトラック!
GM:ワンナイトフィーバーを使用した分振り下げた……時点で二人共100以下になりますね、これ
壬生墨佳:確定帰還!
嬬恋七瀬:やったね!
GM:ロイス分のバックトラックなしで確定帰還とします。オメデト!
嬬恋七瀬:お疲れさまでした!
GM:お疲れ様でしたー


【エンディング】

GM:“フォアフェイチャー”の死とともに、彼の放ったエフェクトの効果も解除される。
GM:……というわけで、壬生さんの霞がかっていた嬬恋さんに関する記憶も無事元通りになりますね。おめでとうございます。
嬬恋七瀬:「……壬生!」ジャームの討伐を確かめて、すぐに駆け寄る。
嬬恋七瀬:「……どうだ?思い出したか?」
嬬恋七瀬:不安げな表情で様子を確かめる。
壬生墨佳:「……」
壬生墨佳:「……」
嬬恋七瀬:「……!」
壬生墨佳:「思い出したよ、全部……」
壬生墨佳:「これまでも全部……連続性を保ったまま……」
嬬恋七瀬:「……そうか……!」
嬬恋七瀬:ほっと息を吐く。
嬬恋七瀬:「……よかった……!」
壬生墨佳:「…………あの」
壬生墨佳:「本当に良かったか……?」
嬬恋七瀬:「……」
嬬恋七瀬:「……?」
嬬恋七瀬:「何が?」
壬生墨佳:「いや何がっていうか……その……」
壬生墨佳:「醜態と言うか……」
壬生墨佳:「互いの…………」
嬬恋七瀬:「……」
嬬恋七瀬:「…………」
嬬恋七瀬:「………………」
嬬恋七瀬:「……は?」
嬬恋七瀬:「知らないし……何それ?」
嬬恋七瀬:「何のこと?全然身に覚えが無いけど?」
嬬恋七瀬:「分かんない。何言ってんの?さっぱりだけど?」
壬生墨佳:「あっそういう手取る……!?」
嬬恋七瀬:「まだ記憶が混濁してるのかな……?何言ってるのか……」
壬生墨佳:「大丈夫???一緒に病院に行こうか???」
嬬恋七瀬:「ぐっ……!」
嬬恋七瀬:「お前だって……!支部に電話して誰が出たんだよ?」
嬬恋七瀬:「相当恥ずかしかったけど?今頃向こうで大盛り上がりかもな?」
壬生墨佳:「……」
壬生墨佳:「……忘れた」
嬬恋七瀬:「お前なぁ……!!」
嬬恋七瀬:「…………」
嬬恋七瀬:「……いや……いいや……もう」
嬬恋七瀬:「忘れようぜ……お互いにさ……」
壬生墨佳:「そうだな……そうしよう……」
壬生墨佳:「もう分かんないもんな僕らが黙ってれば……」
嬬恋七瀬:「そうだな……多分……」
嬬恋七瀬:「いやお前は電話しちゃったけど……」
壬生墨佳:「うぐっ……」
壬生墨佳:「い、今忘れるって方針だっただろ!?」
嬬恋七瀬:「いや……」
嬬恋七瀬:「しろって言ったのボクだったな……」
嬬恋七瀬:「……」溜息を吐いて。
壬生墨佳:「もー……!もー……!」
嬬恋七瀬:「……マジな話」
壬生墨佳:「何」
嬬恋七瀬:「いや……。よかったなって。無事に片付いてさ……」
壬生墨佳:「まあそれはそうだな……」
壬生墨佳:「あの態度を続けられたら堪えられないもん僕」
嬬恋七瀬:「いや、お前こそ違和感すごかったし……!」
嬬恋七瀬:「また1からやり直しなんて、溜まったもんじゃないっての……」
壬生墨佳:「僕の何が違和感があるんだ? ……七瀬」
壬生墨佳:「……いや」
壬生墨佳:「違和感がすごいな……」
嬬恋七瀬:「自分でやっておいて……!?」
嬬恋七瀬:「何なのお前……!?」
壬生墨佳:「何なのって、そりゃあ」
壬生墨佳:「壬生墨佳だよ。知ってるだろ?」
嬬恋七瀬:「……」
壬生墨佳:「お互いにさ。よく知ってるだろ、嬬恋七瀬」
嬬恋七瀬:「……」
嬬恋七瀬:「……そう思うか?」
嬬恋七瀬:頷かずに問いを返す。
壬生墨佳:「そのつもりで居たけれど」
壬生墨佳:「そうじゃないって?」
嬬恋七瀬:「ボクもそのつもりだった……けどさ」
嬬恋七瀬:「今回、一度記憶を失って、また取り戻して……」
嬬恋七瀬:「それで、改めて気付いたんだけど」
嬬恋七瀬:「ボクが知ってるのは、任務の時の……チルドレンとしての壬生墨佳の記憶しかない」
嬬恋七瀬:「普段、会わないだろ。ボクら」
壬生墨佳:「まあ、情報支部員がそうそう学校で仲良しするのも変だろ」
嬬恋七瀬:「ああ。だから……」
嬬恋七瀬:「……」
嬬恋七瀬:「だから…………」
嬬恋七瀬:「…………」
嬬恋七瀬:急に口籠る。
壬生墨佳:「……」
壬生墨佳:「……任務は、これで完了だよな」
壬生墨佳:「報告は残ってるけど。緊急性を要する案件でもない」
嬬恋七瀬:「……え?あ、ああ……」
嬬恋七瀬:「そう、だろうけど……?」
壬生墨佳:「じゃあさ、ここからはただの壬生墨佳と嬬恋七瀬だよな」
嬬恋七瀬:「…………」
嬬恋七瀬:「……ああ」
壬生墨佳:「どっか行こうぜ。これから。遊びに」
嬬恋七瀬:「…………」
嬬恋七瀬:「…………マ、ジ?」
壬生墨佳:「何だよ。ご多忙か?」
嬬恋七瀬:「いや……いや!」かぶりを振って。
嬬恋七瀬:「……行く」頷く。
壬生墨佳:「オッケー。決まりだ」
壬生墨佳:「どっか行きたいとこある?ああ」
壬生墨佳:「僕が決めてやらなきゃダメなんだっけ?」
嬬恋七瀬:「そういうとこばっか覚えてるなお前……!」
嬬恋七瀬:「……どこでもいいけどさ、十一区以外にしようぜ」
嬬恋七瀬:口振りだけで後輩の存在を想起させる。
壬生墨佳:「ああ……そうだな……」
壬生墨佳:「彩谷に遭遇したら最悪だし」
壬生墨佳:「ツグミにはさっき電話で怒られたから気まずい……」
嬬恋七瀬:「相手ツグミなの……!?」
嬬恋七瀬:「それ後でボクも怒られるじゃん……!」
壬生墨佳:「あとでお菓子買って謝りに行こうか……」
壬生墨佳:「ああ、いや、違うわ」
壬生墨佳:「僕今持ってるじゃん」かばんを漁って。
嬬恋七瀬:「?」
壬生墨佳:「ほら。これ君のな」手製らしき、包装紙に包まれた箱を渡す。
嬬恋七瀬:「……は」
嬬恋七瀬:受け取って。
嬬恋七瀬:「……何、これ」
壬生墨佳:「何って……」
壬生墨佳:「チョコだけど」
嬬恋七瀬:「……」
嬬恋七瀬:「……え、バレンタインの?」
壬生墨佳:「うん。あれ、チョコダメだっけ?」
嬬恋七瀬:「……いや……」
嬬恋七瀬:「……違うけど……」
嬬恋七瀬:「……え、今!?」
壬生墨佳:「いやだって急に任務来たからさ……!」
嬬恋七瀬:「……何だよもぉおお……!」
嬬恋七瀬:「ボクがバカみたいじゃん……!」
嬬恋七瀬:言って、鞄から包みを取り出す。
嬬恋七瀬:リボンで結ばれた、高級感のある小さな袋。
嬬恋七瀬:「……ん」 それを差し出す。
壬生墨佳:「ん。さんきゅ」
嬬恋七瀬:「いやサンキュじゃないだろ……!」
壬生墨佳:「えっ何……!?」
嬬恋七瀬:「こっちはどうやって渡そうかずっと……!」
嬬恋七瀬:「何なのお前!?マジでさあ……!」
壬生墨佳:「どうすればよかったんだよじゃあ……!」
嬬恋七瀬:「もっと何か……あるだろ……!ていうか1日早いし……!」
嬬恋七瀬:「せめて当日だろ……!こんな……もぉおお……!!」
壬生墨佳:「ああ、分かった、分かった。ちょっと待ってろ」
嬬恋七瀬:「今度は何……!」
壬生墨佳:「……ありがとう、七瀬。嬉しい」微笑んでみせて。
嬬恋七瀬:「………………」
嬬恋七瀬:「…………」
嬬恋七瀬:「……ごっ」
嬬恋七瀬:「誤魔化してるだろ…………」
壬生墨佳:「……」
壬生墨佳:「いや、そのつもりだったけど」
壬生墨佳:「普通にちょっと恥ずかった……」
嬬恋七瀬:「お前……!マジ……マジ何なんだよ……!ああ……もう……!!」
嬬恋七瀬:「覚えとけよ、ホワイトデー」
嬬恋七瀬:「目に物見せてやるからな」
嬬恋七瀬:「忘れるなよ」
壬生墨佳:「ああ。忘れないとも」
壬生墨佳:「きっとだ。楽しみにしてるぜ、嬬恋七瀬」
嬬恋七瀬:「ああ。忘れられなくしてやる」
嬬恋七瀬:「絶対にな。楽しみにしてろよ、壬生墨佳」


『一夜二人転:壬生墨佳/嬬恋七瀬 第二夜』 終