『一夜二人転 涼暮御幸と阿嘉橋コウの場合』(GM:里村)


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涼暮(すずくれ)御幸(みゆき)(PL:DT)
キャラクターシート

阿嘉橋(あかはし)コウ(PL:さささ)
キャラクターシート




一夜二人転 涼暮御幸と阿嘉橋コウの場合


オープニング

GM :ある日の放課後。

GM :破風の会の会室にやってきたのは、今日は、あなたがた二人が最初でした。

GM :戸口を開こうとすると、何かがひっかかっているようでうまく動かない。

GM :という形で、おふたりが会室の前で顔を突き合わせたところであります。

阿嘉橋コウ :「あれ、えーと……」ドアに手をかけて、何やらガタガタやっている小柄な男子生徒。

阿嘉橋コウ :「うーん、うーん」

阿嘉橋コウ :一人では開かない様子で、首を傾げている。

阿嘉橋コウ :「うーーーーーん」

涼暮御幸 :かつ、と靴音が鳴り、そこに一人の女子生徒。

阿嘉橋コウ :「……もしかしたら、夜に改装があってドアの開け方が変更になったのかなあ……」

涼暮御幸 :「君は一体、そこで何を?」長身。結びあげた黒髪と、白い羽飾りが目立つ。

阿嘉橋コウ :「あっ」ぱっとドアから手を離す。

阿嘉橋コウ :「こんにちは、会長!」

涼暮御幸 :「ああ。こんにちは」

阿嘉橋コウ :「あの、今来たところなんですけど、普段通りに開けようとしたら」

阿嘉橋コウ :「ドアが開かなくて……」

阿嘉橋コウ :「可能性としては、中で何かが邪魔をしてるというのが一番高いと思うんですけど」

涼暮御幸 :「……ふむ。失礼」

涼暮御幸 :戸の前に立ち、いつものように開けようとして。

阿嘉橋コウ :「もしかすると、誰かが邪魔をしてるのかもしれないし」

阿嘉橋コウ :言いながら少しどく。

阿嘉橋コウ :「あとは熱膨張で扉が少しサイズアップしていたりとか」

涼暮御幸 :開かない。

阿嘉橋コウ :「あと……急に立て付けが悪くなったとか……」横でいろいろ言っている。

GM :動かなかった扉が、二度、三度……と、力を込めてみると。

GM :ひっかかっていた何かが外れたのか、かけていた力のぶんだけ勢いよく開きます。

GM :何かが派手に転がる音。

阿嘉橋コウ :「あっ」

涼暮御幸 :「おっと」

阿嘉橋コウ :「さすが会長です」

涼暮御幸 :勢いよく開かれたドアを手で止めて。

涼暮御幸 :「いや、さほど力を掛けたわけでもないが……」

GM :夕暮れの色に照らされた部屋の中には、おそらく今まで引っかかっていただろう「もの」が整列しています。

GM :整列している。

涼暮御幸 :「何かが支えていたと考えるのが妥当かな」

涼暮御幸 :「そしてその何かが……」

阿嘉橋コウ :「何かというと……」

涼暮御幸 :「これか……?」

GM :整列しています。招き猫が。

阿嘉橋コウ :じっと見つめる。

阿嘉橋コウ :「あっ、あの、知ってます。招き猫ですよね」

涼暮御幸 :「その様だが……心当たりは?」

GM :大量の招き猫が、転がったはずなのに一つ残らずきちんとした方向で室内に鎮座しています。

阿嘉橋コウ :「な、ないです。今日は今初めてここに来ました……」

涼暮御幸 :「生徒からの没収物でもあったのかな。報告は受けていなんだがね」

涼暮御幸 :「……そもそも」

涼暮御幸 :「……今支えて居たのはどれだ?」

GM :サイズからすると、ひとつやふたつではないはずですが…

女子高生A :「あ。すいません、今大丈夫ですか」

女子高生A :「破風の会のほうに用件があるんすけど…なんかお取り込み中すか?」

涼暮御幸 :「ん。ああ、いや、構わない」

涼暮御幸 :「生徒の要件が優先だ。掛けてくれ」

涼暮御幸 :「周りのそれは気にしなくていい」

阿嘉橋コウ :とりあえず、椅子を出したりしている。

女子高生A :「うわ」

女子高生A :「ものすごいインテリアの趣味ですね。そうじゃなければ手遅れだったかな…」

涼暮御幸 :「手ずから飾り付ける趣味はないがね……手遅れとは?」

女子高生A :「はあ。ええと私、UGNのほうから来ましたAです。学内の事件について、破風の会の方にお願いをと思ったんすけど…」

女子高生A :「縁起物のことで」

阿嘉橋コウ :「縁起物……」

涼暮御幸 :「……成程」

涼暮御幸 :「そちらの要件は更に優先だ」

涼暮御幸 :「我々は学内事件を主担とする義務と責がある」

阿嘉橋コウ :その言葉に、ぴしっと背筋を伸ばす。

女子高生A :「はい。まさに、学内で妙な事件が続いてるようなんすよ。たぶん、関係者のほとんどは事件だと認識してないよなんすけど…」

女子高生A :「いきなり机やロッカー、下駄箱に縁起物が届いてですね」

阿嘉橋コウ :すぐ傍の招き猫とじっと目を合わせる。

女子高生A :「運が良くなるんです」

阿嘉橋コウ :「運が!」

涼暮御幸 :「運?」

女子高生A :「そうなんすよ。たとえば…」

学生 :「すいません、職員室のほうから郵便物預かってきました。第一生徒会って破風の会で合ってましたよね?」

阿嘉橋コウ :「あ、はい! そうです」

阿嘉橋コウ :とことことそちらの方に。

学生 :「よかった。じゃあこれ、おねがいします」

涼暮御幸 :「ありがとう」手だけ軽く上げて。「内容は?」

GM :印刷所や地域の学校連絡会の封書の束に混じって、派手な封書が一通。

GM :表書きは"I県ふるさと大懸賞当選のお知らせ"。

阿嘉橋コウ :「……懸賞?」

阿嘉橋コウ :「会長、あの、"I県ふるさと大懸賞当選のお知らせ"だそうです」

涼暮御幸 :「……誰が応募を……?」

阿嘉橋コウ :「こっちはいつもの連絡会のと、あとはダイレクトメールと……」

涼暮御幸 :「いや、懸賞へ誰が応募しようが構わないのだが」

阿嘉橋コウ :「あっ、僕は送ってません」念のために。

涼暮御幸 :「ここを宛先と……?」

女子高生A :中身を確認してみると…紙が一枚。

GM :"目録 短角牛 2歳 2頭 以上○月○日にお届けします"。

阿嘉橋コウ :「……うし」

涼暮御幸 :「牛肉か。また大層な……」

涼暮御幸 :「……」

涼暮御幸 :「2頭?」

阿嘉橋コウ :「多分なんですけど、牛肉じゃなくて、えっと」

阿嘉橋コウ :「いえ、牛肉もなんですけど」

阿嘉橋コウ :「生きているのでは……?」

女子高生A :「…まあその、やりすぎなくらい運がよくなるみたいなんすよ。一人暮らしの家にでっかい洗濯機届くとか。宿題忘れたら先生が急病で寝込むとか」

涼暮御幸 :「まるで牛そのもののような書きぶりだ。誤解を招く表現だが……」

涼暮御幸 :「……これもその一環と?」紙をひらひらと。

女子高生A :「はあ。これがご趣味じゃないならたぶん」

阿嘉橋コウ :「そんな、先生が倒れたら運が良くはないですよ」

女子高生A :危険物でもするように山積みの招き猫を見て。

阿嘉橋コウ :「ここに牛が来るのも……大変そう……」

女子高生A :「今んとこ学内だけで停まってるみたいなんですが。これが表にまで漏れ出したら何が起こるやらわからないので…」

女子高生A :「…大変っすね。牛」

阿嘉橋コウ :「あっ、餌の手配とか必要なのでは……?」

阿嘉橋コウ :「あと、柵……?とか?」考え込んでいる。

涼暮御幸 :「いや流石に牛がそのまま来るとは考え難いが……」

阿嘉橋コウ :「名前をつけたら後で辛い思いをするでしょうか……」すっかり生きた牛が来るつもりでいる。

涼暮御幸 :「運の範疇ではないだろう、それは。事象を矯めねばそうはなるまい」

女子高生A :「まあそうなんですよ。異常事態です」

涼暮御幸 :「万が一来た場合も我々で飼育を考えてくれるな……専門家に委ねて……ああ、いや」

涼暮御幸 :「それよりも自体の解決か」

阿嘉橋コウ :「あっ、はい! そうです」

女子高生A :「そういうことで、お願いできないかと」

女子高生A :「…まあ、今ならツイてるみたいですし?」

阿嘉橋コウ :「事前に解決すれば、悩まなくて済みますしね」

涼暮御幸 :「承知した。送り先の特定からかな……」

阿嘉橋コウ :「知らせてくれて、ありがとうございます!」頭を下げる。

涼暮御幸 :「徒に混乱を生む行いは、早期に対応をして治安を維持せしめるとしよう」

女子高生A :「どういたしまして。よろしくお願いしますよー」

涼暮御幸 :「報告を感謝する。君が我々に声をかけたことが、君の幸運であったと見なせるように努力する」

女子高生A :「噂通りの方で…こちらにお声がけしてよかったすよ」



ミドルフェイズ

GM :ということでミドル。

GM :調査にかかったFS判定となります。

使用技能:≪情報:UGN≫ ≪情報:噂話≫
難易度:6
最大達成値:9点
目標進行値:4

GM :意志による支援判定を行うことで、達成値ボーナスとともに、達成値上限を10に変更することができます。

GM :制限時間は2ラウンド。


GM :ということで、1ラウンド目のハプニングチャートから行きましょうか。

GM :イニシアチブ順にコウくんから。まずは1D6をどうぞ。

阿嘉橋コウ :1d6 (1D6) > 3

GM :「状態が反転、もしくは両者へ発生。ラウンド中の達成値-2」

GM :いきなり運の向きが悪くなる。調査に乗り出した状態としてはちょうど良さそうですね。

GM :どちらかに不運が発生するでどうかと思うんですが、不幸を蒙りたいかたは。

阿嘉橋コウ :じゃあいただきましょうか

GM :ではコウくんに運が悪いのをかぶってもらうとして。

涼暮御幸 :いつもすまないねえ

阿嘉橋コウ :それは言わない約束でしょ

GM :演出開始前に判定をどうぞ! 技能は指定のままです。

阿嘉橋コウ :では〈情報:UGN〉コネありで普通に振りましょうか

阿嘉橋コウ :4dx+1-2>=6 (4DX10-1>=6) > 10[6,6,9,10]+2[2]-1 > 11 > 成功

阿嘉橋コウ :やったね

涼暮御幸 :能力訓練:社会を使用します

涼暮御幸 :あ、侵蝕率ってどうなってます?固定?

GM :あ。失礼、侵食率は80%固定になります!

涼暮御幸 :了解です!

阿嘉橋コウ :あ、そのまま振っちゃった。まあ足しても成功ということで……

涼暮御幸 :7dx+3-2>=6 (7DX10+1>=6) > 9[1,3,3,5,5,8,9]+1 > 10 > 成功

阿嘉橋コウ :わおわお

涼暮御幸 :問題なく。

GM :はい。では二人成功で+2、2/4! 1ラウンド目は順調。

GM :調査を開始したお二人でしたが。…なぜか、やることなすこと微妙にうまくいきません。

GM :たとえば…

GM :(ということで、コウくん、お願いします)


阿嘉橋コウ :勢い込んで校内に調査に向かい、しばらくした後のこと。

阿嘉橋コウ :「えっと……こちらの方は、その……」

阿嘉橋コウ :制服がかなり汚れており、顔にも土埃がついている。

阿嘉橋コウ :髪は汚れてはいないが、半分濡れている。

涼暮御幸 :「……何をどうしたらそうなる……」

阿嘉橋コウ :「あっ、違うんです、普通にしてたんです……」

阿嘉橋コウ :「普通というのは、日常と同じくらいの心構えということなんですけど」

阿嘉橋コウ :「そのはずなんですけど、急につまづいて転んだり」

阿嘉橋コウ :「靴紐がほどけて転んだり」

阿嘉橋コウ :「あと、そこにランニングの人がきて埃をかぶったり」

阿嘉橋コウ :「園芸部の人が水をやってたのが跳ねたりして……」

涼暮御幸 :「偶然と断ずるには少々回数が多いな」

阿嘉橋コウ :「そうなんです。僕もそうかなって思って」

涼暮御幸 :「ああ。こちらのこともあるしな……」

阿嘉橋コウ :「調べてわかったことはそんなにないんですけど、これ自体が何かおかしいことになってる印なんじゃないかって」

涼暮御幸 :そう言う彼女の手には花束と、両手に抱えるように紙袋。

阿嘉橋コウ :「わあ」

涼暮御幸 :「流石にこれは、奇妙と断ずるに足るだろう」

阿嘉橋コウ :「どうしたんですか? それ」

涼暮御幸 :「分からん。道行く生徒が皆……」

涼暮御幸 :「日頃の感謝だの、渡す先が休んだだの、あれやこれやと理由をつけたり」

涼暮御幸 :「挙句の果てには理由はないけどなんとなくなどと称して、私に贈り物を……」

阿嘉橋コウ :「会長は慕われているので……」うんうんとうなずきながら。

涼暮御幸 :「このようなものを贈られるに足ることはしていないのだが……」

阿嘉橋コウ :「でも、普段とは違うなら、やっぱりおかしいですねえ」

涼暮御幸 :「運というやつということか。あまり盲信したくはない観念だが」

涼暮御幸 :「少なくとも、何らかの作為があるのは事実か」

阿嘉橋コウ :「オルクスの人なら動かせてしまうって言いますよね」

阿嘉橋コウ :「人の調子や気持ちまで動かせるのかはわかりませんが……」

涼暮御幸 :「学園を出力規模とするとなると厄介だがな……」

涼暮御幸 :荷物をガサゴソと漁る。

涼暮御幸 :その中からタオルを取り出して、阿嘉橋コウの顔を拭く。

阿嘉橋コウ :「ぷわ」

阿嘉橋コウ :「あ、ありがとうございます……」

涼暮御幸 :「あいにく服の換えは貰っていないがね」

阿嘉橋コウ :「服は、えっと、我慢します!」

阿嘉橋コウ :ぱたぱたと埃だけは払っておく。

涼暮御幸 :「……」

涼暮御幸 :「菓子ならある」

阿嘉橋コウ :「あっでも姫にバッタリ会ったりしたらどうしよう……」ぶつぶつと。

阿嘉橋コウ :「お菓子!」

涼暮御幸 :「小休止にしようか。体勢を立て直す時間が要るだろう?」

阿嘉橋コウ :「わあー」顔を明らかに輝かせている。

女子学生 :「わあ…」

女子学生 :通りすがった女子が、その様子を目を輝かせて見ている。

阿嘉橋コウ :「そうします、いただきます……」

阿嘉橋コウ :「……?」

涼暮御幸 :「……済まないね。この様な様子をお目にかからせて」

女子学生 :「い、いえ、なんというか、いいもの見せてもらいました…」

阿嘉橋コウ :「あっ、お菓子ですか? おひとついりますか?」

色恋沙汰の話が好きな女子学生 :「だだだ大丈夫よ。私口止めとかされなくても…」

阿嘉橋コウ :「口止め……されるようなこと、今してましたっけ……?」会長に。

涼暮御幸 :「いや……?」

阿嘉橋コウ :「よかったあ、知らない間に校則違反してたらどうしようと思いました」

阿嘉橋コウ :「会長がそう言うなら安心です!」

色恋沙汰の話が好きな女子学生 :「大丈夫ですよ! 誤解とかしませんから!」

色恋沙汰の話が好きな女子学生 :「でもすっごい絵になるなあ…いけない、いけないわ…」

阿嘉橋コウ :「はい、破風の会は誠実に活動を行っています」にこにこしている。

阿嘉橋コウ :何がいけないのかなあと思っている。

色恋沙汰の話が好きな女子学生 :「…あ、じゃ、じゃあ、活動、頑張ってくださいね!あとこれよかったら。いえぜひ。もらっちゃって困ってたんです」

色恋沙汰の話が好きな女子学生 :封筒を押し付けて、女学生はそのまま走り去ります。

涼暮御幸 :「あっまたこのパターンか……」

GM :表書きは"タイタニックリバイバル上映ペア招待券"。

阿嘉橋コウ :「でも、会長がもらったタオルとかお菓子で僕は少し助かったので」

阿嘉橋コウ :「運が悪くてもカバーできたのかなーと……」

阿嘉橋コウ :「映画?」

涼暮御幸 :「……そのようで」

阿嘉橋コウ :「……あ」

阿嘉橋コウ :「あのー、これ、解決したら、処分してしまったり、しますか?」

涼暮御幸 :「解決時の状況次第かな。特に出自に問題のないものであれば」

涼暮御幸 :「然るべきところに返却するのが筋だが……とはいえ」

涼暮御幸 :「一度贈られたものではね。おいそれと突き返すのも非礼だろう」

阿嘉橋コウ :「会長はこの映画、興味はありますか?」

阿嘉橋コウ :「あるなら、構わないというか、あの、こっちが勝手なことを言ってるだけなんですけど……」

涼暮御幸 :「聞こう。どうした?」

阿嘉橋コウ :「はい。ペアということは二人用のチケットですよね」

阿嘉橋コウ :「僕、一緒に見に行ったら楽しいかなって思う相手がいて」

涼暮御幸 :「……ふむ?」

阿嘉橋コウ :「会長がもし不要なら、という前提において、あの……」

涼暮御幸 :「君がそういう事を言うのは珍しいな」封筒をぽん、と身体に。

阿嘉橋コウ :「……わあ」

阿嘉橋コウ :「はい、あの、珍しい、です」

阿嘉橋コウ :「でも、前よりは珍しくないんですよ」

涼暮御幸 :「……ふ」薄く笑って。

涼暮御幸 :「ならば、それを確認できたことこそが」

涼暮御幸 :「私の一番の僥倖かもしれんな」


GM :第二ラウンド行きます。事件の犯人を発見する予定

GM :会長、ハプニングチャートをお願いします!

涼暮御幸 :1d6 (1D6) > 6

GM :特殊技能の要求。

GM :1d11でもう一度お願いします!

涼暮御幸 :1d11 (1D11) > 3

GM :<芸術:歌唱>指定。歌う…?

GM :OK。では巻き込まれていただきましょうか。

涼暮御幸 :まかせて

GM :判定行きましょう。どうぞ!

涼暮御幸 :能力訓練:感覚を使用します。

涼暮御幸 :6dx+1>=6 (6DX10+1>=6) > 9[5,6,6,7,9,9]+1 > 10 > 成功

涼暮御幸 :そつなくこなしてしまいました

阿嘉橋コウ :すごい! こっちは何もないのでそのまま

阿嘉橋コウ :4dx>=6 (4DX10>=6) > 10[1,5,8,10]+9[9] > 19 > 成功

阿嘉橋コウ :!?

涼暮御幸 :すご

涼暮御幸 :歌手じゃん

阿嘉橋コウ :音楽得意だったのかな……

GM :これはすごい

GM :ではラウンド演出開始していきます


GM :学園内の調査に回っていた二人は…

GM :試食を頼まれて安からぬものをご馳走になったり。

GM :余ったからとか発注ミスしたとか言われてぬいぐるみやらをプレゼントされたり。

GM :探していた人がばっちりその場にいたりなどという僥倖に見舞われていました。

GM :学園祭の準備。という話でした。学園祭?

GM :…学園の学園祭は初夏。準備やリハーサルが始まるにはすこし早すぎる気がします。

GM :確かに開始時期について取り決めはなく、泊まり込みの準備が解禁されるのがいつか、というだけなのですが。

GM :ところは体育館。

GM :なぜかお二人はステージの上に上げられています。

放送部の女子学生 :「ということで、歌っていただきましょう! …えーと、リクエストあります?」

放送部の女子学生 :「軽音部もリハにつきあってくれてるんで、大抵のものはやれるそうですけど」

涼暮御幸 :「いや、あの」

涼暮御幸 :「なんで……?」小脇にクマのぬいぐるみを抱えたまま、壇上に上げられた。

阿嘉橋コウ :こちらも目をぱちぱちさせている。

阿嘉橋コウ :両手には紙袋が大量だ。

放送部の女子学生 :「いやあ、ほんとは入るはずだったアニメ研究会の子たちが病欠で…」

放送部の女子学生 :「どうせなら会長たち、本番も出ちゃいます?」

放送部の女子学生 :「舞台ばえするし。歌までいけたらスカウトとか来ちゃうかも」

涼暮御幸 :「勘弁してくれ……」

阿嘉橋コウ :「学園祭の時は、会長も僕も多分、忙しいと思うなあ……」

放送部の女子学生 :「ええー。ぜったい売れますよ会長。すごい美人だし」

放送部の女子学生 :「でもほら、なにかたまたま運が良ければ、あるかもじゃないですか?」

涼暮御幸 :「怖いことを言ってくれるな」少し笑って。

涼暮御幸 :「とにかくだ。求められているのであれば、力を尽くそう」

放送部の女子学生 :「それじゃ、おねがいしまーす!」

涼暮御幸 :軽音部の元に寄って、リクエストを告げて。

涼暮御幸 :「笹雪の流れ清く――」歌い始める。

涼暮御幸 :「――育みし我らが母校」曲目は、星辰館学園の校歌。

放送部の女子学生 :「わあ…」

涼暮御幸 :「昼は澄み 夜はまばゆき」朗々と歌い上げる。

涼暮御幸 :照れも衒いもなく、しっかりとした旋律を歌い上げる。

涼暮御幸 :舞台の上、一人とは思えぬ迫力で。

GM :…そのとき、あなたはちょっとした違和感を感じます。

GM :器物使いだからこそ感じられたものです。握っているマイクに、何か、自分以外のものが繋がっているような感覚。

GM :その"繋がっている先"は…ぎりぎりで、視界の中に収まっていました。

怪しい人物 :体育館の入口付近で、体を折り曲げて小さく震えている影。

涼暮御幸 :「――ああ うるわしの 星辰館 星辰館高校」

怪しい人物 :目深にフードをかぶった人影で見るからに怪しいですが、通りがかる生徒がそれを見咎める様子はありません。

涼暮御幸 :そこまで歌い上げ、間奏。マイクを受け渡して。

涼暮御幸 :「任せる。可能であれば、君の歌で耳目を引いてくれ」

阿嘉橋コウ :「えっ、耳目……?」

阿嘉橋コウ :マイクを受け取る。

放送部の女子学生 :「え、あっきーいけるの…?」

涼暮御幸 :そのまます、と舞台の袖にはける。

阿嘉橋コウ :「あ、い、いけます……」

阿嘉橋コウ :会長が任せると言ったのであれば。

阿嘉橋コウ :成し遂げるしかない。

阿嘉橋コウ :元々、音楽の素養はなかった。カラオケに行ったのも、高校に入ってからだ。

阿嘉橋コウ :でも、何度かやっているうちに、楽しいな、と思えるようになった。それから、褒められる事も増えた気がする。

阿嘉橋コウ :耳目を引けというのなら、じゃあ、いつも通りそうするだけだ。

怪しい人物 :「…………」

阿嘉橋コウ :「黒瀬山峰を仰ぎ」二番を引き継いで歌い出す。

怪しい人物 :暗幕が降りて舞台以外の電気もおちた体育館で、舞台上を見上げて身を震わせている。

阿嘉橋コウ :「守られし我らが母校」腹筋は鍛えているから、声量はある。

阿嘉橋コウ :あとは、曲をよく聴くこと。リズムを捉えること。

阿嘉橋コウ :そうしたら、ずっと上手く歌えて、それで。

阿嘉橋コウ :横にいる君が喜んでくれたから。

阿嘉橋コウ :(だから、僕の世界は、こんなに楽しくなったんだよ)

阿嘉橋コウ :「ああ まなびやの」

阿嘉橋コウ :「星辰館 星辰館高校」

阿嘉橋コウ :二番が終わる。息を吐ききる。

涼暮御幸 :彼が歌い終わり、周囲に拍手の音がある中で。

涼暮御幸 :フードの人物の後ろに立ち。「君は」

涼暮御幸 :「ここで何を?」

阿嘉橋コウ :壇上、ぺこりと深く頭を下げている。

怪しい人物 :「ひゅぉぁっ!?」

怪しい人物 :びくりと背を跳ねさせる。

怪しい人物 :「な、なにをって、どもし、わたしは怪しい人では」

怪しい人物 :じりじりとすり足で背面移動。

涼暮御幸 :「学園の生徒であれば知悉しているつもりだが」

怪しい人物 :「生徒会長様なんでこんなところに」小声早口。

涼暮御幸 :「疚しいことがないのであれば、堂々と名を聞かせてもらいたいな」

怪しい人物 :なお、見るからに怪しいですし生徒ではないはずです。

怪しい人物 :「……ご、ごめんなさって!」

怪しい人物 :背を向けて、見るからに運動慣れしていない動きで脱兎のごとく逃げ出します。

涼暮御幸 :「阿嘉橋!」

阿嘉橋コウ :「はいっ!」

涼暮御幸 :「あれを追う。私に続け!」

阿嘉橋コウ :マイクを周りに渡し、壇上から駆け下りる。

放送部の女子学生 :「え、あ、えーっと、お気をつけてー?!」

阿嘉橋コウ :「わかりましたっ!」

涼暮御幸 :壇上にはクマのぬいぐるみだけが残される。


GM :ということで、FS判定クリア。クライマックスに移行します。



クライマックス

怪しい人物 :「あっ、し、しまったっ」

怪しい人物 :ほんとうにしまったと口にして、怪しい人影が足を止めたのは校舎裏。

怪しい人物 :学生ならば誰もが知っている行き止まり。

怪しい人物 :おそるおそる振り返ると……ちょうど、あなたがたが追いついてくるところです。

涼暮御幸 :まるで天から降ってきたかのように。

涼暮御幸 :たん、と眼の前に着地した。

怪しい人物 :「ううっ」

怪しい人物 :「ま、まぶしい…」

阿嘉橋コウ :こちらは火の弾のような勢いで、全力で走ってくる。

涼暮御幸 :「君に危害を加えるつもりはないのだが……」

涼暮御幸 :「話を聞かせてほしいと再三言っているだろう」

涼暮御幸 :「失礼ながら、生徒の中に覚えがなくてね」

怪しい人物 :「えぐっ」

怪しい人物 :痙攣する

涼暮御幸 :「我が身の不徳といえばそれまでだが。であればこそ、名乗りを求めている」

阿嘉橋コウ :「わっ」

怪しい人物 :「た、確かに生徒じゃないですが。生徒じゃないですが」

阿嘉橋コウ :「あのう、体調とか大丈夫ですか?」痙攣を心配している。

阿嘉橋コウ :「暴走とかで調子崩す人もいるし……」

怪しい人物 :「や、やめて! 気にかけないで!」

涼暮御幸 :「であれば、所定の手続きを経て学内へと――」

怪しい人物 :「青春が眩しすぎて目が潰れるから!」

涼暮御幸 :「用紙はこちらで用立てる。記入をば――」

涼暮御幸 :「……何を?」

阿嘉橋コウ :「青春」

怪しい人物 :「…ふふ、わかっていますよ。私に気がついたということはあなたたちも超能力者」

怪しい人物 :「つまり私を捕まえようということでしょ。でもそうはいかない。人生でいっぺんくらい夢見てもいいじゃない!」

涼暮御幸 :「ああ、成程」超能力者という言い回しに得心して。

涼暮御幸 :「未掌握オーヴァードのようだな、あれは」

阿嘉橋コウ :「そうみたいです!」

怪しい人物 :「ううっ、なんかそれっぽい用語」

怪しい人物 :「…いいのよいいのよ。蚊帳の外なのは慣れっこだもの。こうなったら力づくで見なかったことにしてもらいます!」

阿嘉橋コウ :「なんでかというと、あの、超能力者という言い回しは……。いや、あんまりこれ本人に言わない方がいいのかな……」説明をしようとしてやめる。

涼暮御幸 :「……我々は政府機関の一員です。同道し、我々の説明を――」

涼暮御幸 :「……いや」

涼暮御幸 :「どうにも聞き入れる気はなさそうで」

阿嘉橋コウ :「力づくって言ってますしね」

GM :ジャーム化しているかは怪しいですが、衝動に振り回されているのは確かなようです。

GM :少なくとも暴走状態。鎮圧する必要があるでしょう。

阿嘉橋コウ :「一旦止めて、それから落ち着いて話をした方がいいと判断します」

涼暮御幸 :「ああ」頭の白い羽飾りを抜く。

涼暮御幸 :領域能力によって折りたたまれたそれが開き、刺突剣となる。

阿嘉橋コウ :「あの、まずいなって思ったらすぐに投降してくださいね」

阿嘉橋コウ :「いつでも受け付けますし、それまでは……対処を続けます」

怪しい人物 :「その優しさが痛いのよォーっ!」

GM :……戦闘を開始します。

GM :衝動判定に割り込んで《ワンナイトフィーバー》を使用。

GM :要するに侵食率が100固定されます。

GM :(固定というか100まで上昇)

涼暮御幸 :受けます!

阿嘉橋コウ :こちらも受けます

system :[ 涼暮御幸 ] 侵蝕率 : 80 → 100

GM :はい。では100まで上がって……

system :[ 阿嘉橋コウ ] 侵蝕率 : 36 → 100

GM :では戦闘開始。PC1エンゲージ、敵、10m離れて1エンゲージ形成!

GM :こちらの行動値は…一応あるんですが表記しません。まあその…


GM :<<ラウンド1>>

GM :セットアップ。

涼暮御幸 :ないですっ

阿嘉橋コウ :《先陣の火》。行動値が15上昇して20。侵蝕2上昇。

怪しい人物 :《雷神の降臨》。行動値0に。

阿嘉橋コウ :なんと

涼暮御幸 :なるほどね……

怪しい人物 :あと暴走状態です(言うまでもない気がしますが)

system :[ 阿嘉橋コウ ] 侵蝕率 : 100 → 102


GM :では行動値順にコウくんから。どうぞ!

阿嘉橋コウ :はあい

阿嘉橋コウ :マイナーで戦闘移動して敵エンゲージへ。

阿嘉橋コウ :メジャー、コンボ『天焦がす火柱』。《コンセントレイト:サラマンダー》《魔獣の本能》《災厄の炎》。

GM :どうぞ!

阿嘉橋コウ :至近範囲攻撃で対象は怪しい人物。侵蝕8上昇。

阿嘉橋コウ :11dx7+9 (11DX7+9) > 10[1,2,2,3,3,4,5,7,8,8,10]+10[5,5,7,8]+10[5,10]+10[7]+6[6]+9 > 55

阿嘉橋コウ :よっしゃ

涼暮御幸 :たっか!

GM :高いよ! 怪しい人物は暴走リア不!

阿嘉橋コウ :ではダメージ!

阿嘉橋コウ :6d10+18 装甲有効 (6D10+18) > 40[2,7,10,9,6,6]+18 > 58

阿嘉橋コウ :まじで

涼暮御幸 :めちゃくちゃ走ってるじゃん

GM :ごじうはってん!?

GM :ま、まだ動いてるよ! 演出あればどうぞ!


阿嘉橋コウ :「じゃあ、速やかに」

阿嘉橋コウ :とん、とステップを踏んだ途端に加速。

阿嘉橋コウ :体内に流れる毒が、反射神経を瞬間的に増加させていく。

阿嘉橋コウ :「対応させて」

怪しい人物 :「えっ」

阿嘉橋コウ :手を差し上げた瞬間。

阿嘉橋コウ :ゴウ、と音を立てて、火の柱が大きく上がる。

阿嘉橋コウ :「いただきますっ」

阿嘉橋コウ :(……あれっ、思ったより……いい感じになった?)

怪しい人物 :「おぎゃああああああっ!?」

阿嘉橋コウ :火の狙いは予想よりもほんの少し精密で、ほんの少し威力が強い。

阿嘉橋コウ :「……これももしかして幸運なら」

阿嘉橋コウ :「使わせてもらいます。ほんのちょっとだけ」

阿嘉橋コウ :「現地調達? ……ちょっと違うかな……」

阿嘉橋コウ :首を捻りながら、次に来るはずの味方の攻撃を待つ。

怪しい人物 :焼かれて倒れる…が無事なようだ。間違いなくオーヴァードだ。

怪しい人物 :「ま、まだまだ……アタマにいっぱつがつんと…」

system :[ 阿嘉橋コウ ] 侵蝕率 : 102 → 110


GM :ということで、会長。どうぞ!

涼暮御幸 :はい!

涼暮御幸 :マイナーで縮地。2人のエンゲージへ。

system :[ 涼暮御幸 ] 侵蝕率 : 100 → 102

涼暮御幸 :メジャー『忍夜恋曲者(しのびよるこいはくせもの)』:《コンセントレイト:エグザイル》《貪欲なる拳》。怪しい人物を攻撃。

涼暮御幸 :15dx7 (15DX7) > 10[3,4,4,4,4,4,4,6,6,7,7,7,8,9,9]+10[1,2,4,5,6,10]+5[5] > 25

GM :25

涼暮御幸 :いつもこんくらい

GM :リアクションできません。ダメージを。

涼暮御幸 :3d10+28 装甲有効 (3D10+28) > 20[7,6,7]+28 > 48

GM :48点

GM :合計116点。いやHP87あったけど保たないよ! 倒れます!

涼暮御幸 :やった!

阿嘉橋コウ :わおー

GM :演出どうぞ!

system :[ 涼暮御幸 ] 侵蝕率 : 102 → 107


涼暮御幸 :攻撃が当たった瞬間には、彼女の姿はかき消えている。

涼暮御幸 :空間転移。その姿は、既に背後に。

怪しい人物 :「えっ」

涼暮御幸 :変形した白羽飾り(ホワイト・フェザー)を、弓のように構えて。

涼暮御幸 :熱の眼が敵を見据え、突き穿つ。

涼暮御幸 :距離をおいた位置からの空間転移。刃が閃き、フードを裂いて。

涼暮御幸 :本人がその間隙に詰め寄り、刃をひたと突きつける。

怪しい人物 :「みぎっ」

怪しい人物 :変な音を出してへたりこむのは…まあ見たところ二十代前半程度の女性だ。

怪しい人物 :腰を抜かしたまま回りをきょろきょろ見回して……

怪しい人物 :「……こ、こうさん、降参です、ごめんなさい…」

涼暮御幸 :圧縮転移されていた刃金が軋んで鳴った。

涼暮御幸 :「……ああ。賢明な判断です」

涼暮御幸 :「少しは落ち着きましたか?」

怪しい人物 :「は、はぁい……」


GM :戦闘終了です。聞き取りとオチはエンディングで行きましょうか

涼暮御幸 :はーい

阿嘉橋コウ :はい!



エンディング

怪しい人物 :「青春……マンガみたいな青春を見てみたかったんです……」

桂葉 譲 :ようやく桂葉譲と名乗った人物は、ぽつぽつと語り始めました。

桂葉 譲 :「…この高校、なんだかすごい事件ばっかり起こるじゃないですか昔から」

涼暮御幸 :「……OGですか」

桂葉 譲 :「いえ…そのですね…」うつむく

桂葉 譲 :「私、市立にいたんですけど、病気で休んでばっかりで、結局中退で…」

桂葉 譲 :「なんだかそんな自分に比べて、こちらの学校がキラキラして見えて…」

阿嘉橋コウ :「……学校に来たかったんだ……」

阿嘉橋コウ :「あの、ちょっとだけだけどわかります」挙手して。

桂葉 譲 :「えっ…あなたがですか」

阿嘉橋コウ :「僕も、中学とかはほとんど行ってないから」

桂葉 譲 :「ああ…そういう業界なんですね…」

阿嘉橋コウ :「高校でちゃんと通えるようになって、嬉しかったです」

阿嘉橋コウ :「業界? 業界なのかな……」

涼暮御幸 :「確かに、この学園が、些か特異であることは事実です」

涼暮御幸 :「オーヴァードの在籍数が他校に比して多い面は、どうしてもその様な状況を生み出します」

桂葉 譲 :「はあ…」

桂葉 譲 :「…私、最近、妙に元気になって、それどころかなんというか。運をよくしたり、姿を隠したりとか、できるようになったので…」

桂葉 譲 :「…せっかくだから、ドラマチックなものを見てみようと。いえ、どうして踏み切ってしまったのか、今はよくわから…ほ、お、本当ですよ本当。本当に」

涼暮御幸 :「我々の学生生活を更に輝かせるために、その能力を行使した」

涼暮御幸 :「そういうことですね?」睨みつけるような視線。

桂葉 譲 :「はい…」

桂葉 譲 :俯く。

涼暮御幸 :睨んでいるわけではない。目付きが鋭いだけだ。

桂葉 譲 :「大変なご迷惑を……その……」

桂葉 譲 :少なくとも半周りは年上のはずの女性は正座のまま小さくなる。

阿嘉橋コウ :「あっ、その、会長は怒っているわけではないので」

涼暮御幸 :「えっ」

涼暮御幸 :「怒っているように取られました今……?」

桂葉 譲 :「えっ」

阿嘉橋コウ :「あっ、あの、桂葉さんの態度と状況からそう思っているのかなと判断したんですけど」

涼暮御幸 :「……その、今のは確認の意味以上はなく」

阿嘉橋コウ :「もし余計な事を言っていたらごめんなさい……!」

涼暮御幸 :「危害の意図がないことが知りたかっただけです」

阿嘉橋コウ :あわあわしながら見守っている。

桂葉 譲 :「え、ああ、はい、怒ってるというか…。不法侵入と開運グッズ配る…開運グッズ配るのはいいのかな…不法侵入していた立場ですから、怒られても仕方ないかなと…」

涼暮御幸 :「正確に言えば、善良な振る舞いとまでは呼べませんが」

涼暮御幸 :「今後の話をしたいと考えています」

桂葉 譲 :「はい……」

涼暮御幸 :「桂葉さんには今後、我々の――オーヴァードの世界の教育を受けていただくことになります」

桂葉 譲 :「教育」

涼暮御幸 :「……剣呑なものではありません」

涼暮御幸 :「ただの座学です」

桂葉 譲 :「ああ。そういう…」

桂葉 譲 :「ああ。あ、いえ。すいません、ありがとうございます」

涼暮御幸 :「その後は登録を頂き、今後の経過を観察することとなりますが」

涼暮御幸 :「提案はここからです」

桂葉 譲 :「はい」正座。

涼暮御幸 :「本校の事務員としての職責にご興味はありませんか?」

阿嘉橋コウ :「わあ」

阿嘉橋コウ :軽く驚いている。

桂葉 譲 :「……えっ」

桂葉 譲 :目を見開いている。

涼暮御幸 :「先程申し上げたように、本校はオーヴァードの数が極めて多く」

桂葉 譲 :「い、いいんですかそんな。というか生徒会がそういう権限って」

涼暮御幸 :「対応できる人員の増員は急務ですが……お恥ずかしながら」

涼暮御幸 :「我々の人材は払底傾向にあります。私に直接の権限などはありませんが」

涼暮御幸 :「教職として赴任している他エージェントへの渡りであれば付けられます」

桂葉 譲 :「…あの、たしかに今家事手伝いですから…ありがたいお話なんですが…」

桂葉 譲 :「…王子様…!」

涼暮御幸 :「学生を間近で見、それを支えながら、オーヴァードとしての力に慣れていくという機会は、そちらにもメリットが……」

涼暮御幸 :「……王子様?」

阿嘉橋コウ :ちょっと反応する。

桂葉 譲 :「あ、ああいえ、なんでもありゅません」

桂葉 譲 :「願ってもないです。ほんとに願ってもないです。こちらからお願いしたいくらいです。お願いしてもいいですか」

涼暮御幸 :ふ、と。固い顔を崩して笑って。

涼暮御幸 :「喜んで。歓迎いたします」恭しく礼を。

阿嘉橋コウ :それを見て、慌てて続く。

阿嘉橋コウ :「歓迎します!」

桂葉 譲 :「ああ。神様…! あなたになにかいいことがありますように…!」

GM :あなたたちの背後で、学校の裏門、おもに業者用の入り口から、おおきな車が入ってきて、とまります。

阿嘉橋コウ :「あ、あの。ちょっとだけなんですけど」挙手。

阿嘉橋コウ :車の方は少し気にしながら。

阿嘉橋コウ :「僕、あなたの幸運でちょっと嬉しいことがあって、えっと」

阿嘉橋コウ :「そのお礼をしたかったなって」

桂葉 譲 :「お礼なんて。というかもう私夢見てるみたいで。十分すぎるくらいです、いいんでしょうか夢のような就職口……」

桂葉 譲 :「でも、いいことがあったなら、よかった…」

阿嘉橋コウ :「あなたの能力は、きっと使い方をちゃんとすれば、素敵なものだから」

阿嘉橋コウ :「この学校がそのお手伝いをできたら嬉しいです」

桂葉 譲 :「ありがとうございます……! 天使か…」

阿嘉橋コウ :転んだことはもう大体忘れてにこにこしている。

涼暮御幸 :「ええ。何事も使い方ですから」

涼暮御幸 :「不用意に暴走を招かぬよう、これから、しっかりと」

運送屋 :「あのー。すいません、お取り込み中らしいですが、こちらの生徒さん?」

涼暮御幸 :「……はい?なんでしょう」

運送屋 :「ええと、はふうのかい、でいいのかな。ってどちらだかわかります?」

阿嘉橋コウ :「?」

阿嘉橋コウ :「あ、こちらですが……」

運送屋 :「ああ。そりゃよかった、お届けものです、ハンコかサイン貰えますか」

運送屋 :「大変だったんですよ。あんな車、本部にしか置いてなくて…」

涼暮御幸 :「はあ……お疲れさまです」サインをさらさらと書いて。

涼暮御幸 :「こちらは?」

運送屋 :「はい。お届け物の牛ですが」

阿嘉橋コウ :「うし」

涼暮御幸 :「……」

運送屋 :「しかし私立高ってのはすごいですね。どこで飼うんです」

桂葉 譲 :「牛…?」

阿嘉橋コウ :「…………」

涼暮御幸 :「……えっ」

涼暮御幸 :「本当に牛……?」

阿嘉橋コウ :「会長! 大変です!」

阿嘉橋コウ :「まだ飼料や柵の手配をしてません!」

阿嘉橋コウ :「あっ、名前はつけたら情が移ってよくないとか、そういうのが……?」

運送屋 :「はい。牛を二頭…ああ、そりゃ大変ですね…」

涼暮御幸 :「いや、待って、待って」

涼暮御幸 :「効果切れたりは……いや」

涼暮御幸 :「まだ何も教育受けてないですもんね。仕方ないですね」

阿嘉橋コウ :「餌当番とかも決めないといけないんでしょうか……?」

涼暮御幸 :「いや、その、受取拒否とか」

涼暮御幸 :「……」サインを見て。

運送屋 :「…返送できるかはちょっと、本社に確認取らないと…」

桂葉 譲 :「あ、あのぅ、なんかすいまぜん」

涼暮御幸 :「どうしろと言うんだ、これを、私に!」

涼暮御幸 :「あっいや悪くないですから!」

阿嘉橋コウ :「……あの。あなたの能力は、きっと使い方をちゃんとすれば、素敵なものなので」

阿嘉橋コウ :「たくさん、勉強していきましょう」

阿嘉橋コウ :「ですよね、会長」

涼暮御幸 :「……ええ、はい、うん」

涼暮御幸 :「まだ、何も終わったわけではないですから」

涼暮御幸 :「これからです」

桂葉 譲 :「は、はい…」

GM :ともかく、騒がしい日常を取り戻した…取り戻したと思う…君たちの後ろで

:人間の事情など知らんとばかりに、立派な牛がもう、と鳴いた。